チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜

 これはあるバイオリン弾きの物語。


 奥さんがいて、子どももいて。一見「幸せ」な彼。

 バイオリンが壊れたことで、彼は決意する。「死のう」と。


 病気だったわけでもなく、自ら自殺めいた行動をとるわけでもない。しかし、彼は予告どおり、八日目に死ぬのです。論理的説明? ありませんそんなのは。





 映画は感じるんだ!!!





 はじめはぶっちゃけ、「うわこの映画ハズレたわ」と映画館で思いました。


 とにかく、登場人物みんな好きになれないんです。バイオリン弾きもうざいし、奥さんもひどい人。自分勝手でわけわかんなくて、誰一人共感できない。


 フランスとベルギーとドイツの合作だそうで。やはり独特のテンポでついていけないなーと思ったり。欧州の映画ってまず、価値観が違いすぎて?? ってなりがちですよね。原作はコミック作品だそうです。だから激情するキャラが多いのかな?



 でも、夢のようなファンタジックな映像と、現在と過去を交互に観ていくうち、あれ? なんか私、こいつら好きになってるぞ? あれれ?? ってなる。


 で、一番好きになれなかったあの人に、うわー! そうだったのねあなたー!! と共感しまくり。


 こんな映画観たことないかも……。


 とにかく、タイトルの「チキンとプラム」がもう、あの人目線のタイトルじゃねえか!! ああもう! だれかこの愛を救って!!!! 掬いとってあげて!!





 彼の葬式には、彼を愛した人が全員参列した。

 そう、彼女も。



 涙腺弱い人はハンカチ用意して。

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