第9話 恩恵②


 1人の少年と黒猫は墓地の中を歩いていた。

 少年はおどおどしながら周りわ警戒して歩いていた。

 黒猫は呑気に鼻歌を歌いながら歩いていた。

「ねぇー黒猫......どこに向かってるの......?」

「着けば分かるにゃよ」

「えぇー。そういえば黒猫の名前を聞いていなかったね」

「僕のにゃまえかにゃ?」

「うん」

「僕のにゃまえはイルにゃよ!」

「宜しくねイル!」

「宜しくにゃ!君のにゃまえはなんていうかにゃ?」

「僕は藍古静流あいこしずる!」

「よろしくにゃ静流!」

「で......いつになったら着くの......」

 それからしばらく墓地を歩いていると目の前に墓地とは違う別の何かがあった。

「あれは石碑にゃよ」

「石碑?」

「あれは恩恵ギフトを受け取るための装置みたいなものにゃ」

恩恵ギフト......」

 果たしてどんな恩恵ギフトが手に入るのか。恩恵ギフトとは何なのか。自分にあった恩恵ギフトが手に入るのだろうか。

 静流の胸中では様々な不安と疑念とか渦巻いていた。

「さぁ静流目を瞑るにゃ」

「うん......」


 しばらくすると花のとてもいい匂いがした。

 目を開けると見えたのは一面花いっぱいの所だった。

「あれ......?さっきまで墓地にいたはずなのに」

 とても静かで花の匂いがして穏やかな空間だった。

 しばらく辺りを見回していると奥の方から人影が現れた。

 時間が経つにつれてはっきりとくっきりとみえた。

 現れたのは1人の美しい女性だった。

「あなたにはこの恩恵ギフトを授けます。心優しいあなたならきっと使いこなせるでしょう」

「え......あの......」

 気がついたら元の墓地に立っていた。

「終わったかにゃ?」

「あーうん。多分」

「その手に持ってるのが恩恵ギフトかにゃ?」

「ちょっと待って」

 手に持っていたカードを見るとそこには能力名らしきものが書かれていた。


霊獣召喚ベスティアサモン


 能力・・・霊獣を召喚し、霊獣と契約出来る。又動物類であれば服従、契約することが可能。


「だからイルと話せるのかな」

「なんにゃ?」

「これを見てよ」

「ほーなるほどにゃ」

 強さはいまいちよくわからなかった。使ってみないことには強さは分からないし、どんな霊獣が出てくるかも分からない。

「とりあえず準備は整ったから行くにゃ!」

「どこに行くの?」

にゃ」

「???」

 そしてイルと静流はゆっくりと歩き出した。

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