第7話 わたしと彼の話し合い
20時をまわった頃、そろそろ子供たちを寝かしつけようかとリビングを片付けていると、玄関の扉の開く音がした。
「ただいま」
驚いたと同時に混乱した。
本当はこんな時間に帰ってこれるのか、と。
彼は、今日は急いで帰ってきたと言った。
彼は早く話をしたい様子だったが、子供たち、特にはるたはもう何もわからない子供ではないので、とりあえず子供たちを寝かしつけてからだと言った。
22時近かったと思う。ようやく二人とも寝付いた。
テーブルに向かい合わせに座った。
わたしはスマホの録音アプリをそっと起動した。
彼がどんな言い方をしたのか、今ではもう思い出せない。
ただ、相手は職場の人間で、1月程前から週に2,3日相手の家に泊まりセックスをする間柄だったとか。
身体だけの関係だ、と強調していたように思った。
また、離婚はしたくない。その相手とは別れると言った。
ゆうきが産まれて1ヶ月の頃から。そのことは衝撃だった。
彼はゆうきを愛していないの?
だけど、その時のわたしは、彼に対して甘すぎて、今思うとありえない。
彼は相手のことを聞いても、職場の人間ということ以外は何一つ「答えたくない」だった。
また、仕事以外ではもう関わらない。個人的に連絡を取らない。と、彼が言うのを聞き、「信じるから」などと本気で言っていた。
彼は「家に自分がいなくても問題ないと思ってた。わたしが自分を頼りにしていないと思ってた。」などと、言い訳じみたことを言った。
わたしからしてみれば、家にほとんど帰ってこない人間をどう頼れば良いのかと思った。だからきちんと帰って来て、もっと積極的に家事も育児も手伝うようにと約束をした。
あとはもう二人とも泣いていた。
そして24時を過ぎた頃にゆうきが泣いて、その日の話し合いは終わった。
翌日友人に電話であらかた話をした。
甘い。そんなんで大丈夫か。と怒られた。
でもわたしは、やっぱり彼のことを信じていたいから。
と、言って友人を若干呆れさせてしまった。
それでもわたしを見放さない友人は、本当に優しい。
これで大丈夫。
本心からそう思っていた訳ではない。
でも、信じていればきっと彼にも通じる。
だから大丈夫。
自分に言い聞かせた。
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