第4話 わたしの勘

ゆうきが2ヶ月になった頃から、わたしは彼との間に違和感を感じていた。

漠然としていて、はっきりと言えなかったが、何かがおかしかった。


そういえば最近彼から仕事の話をあまり聞かない。それどころかゆっくり会話も出来ていない。でもそれは彼が多忙でほとんど家を空けているし、家に居てもほとんど寝てしまうからだ。

セックスもしていないが、それは子供たちにまだまだ手がかかるので仕方のないものなのかなぁ。と、ぼんやり思っていた。

しかし、彼は昔から性欲が強い方だった。だからなのか、嫌な妄想が頭をよぎった。


ある休日、昼近くなのにまだ寝ている彼に向かってストレートに質問をした。

「浮気とかしてないよね?」

彼は布団に入って目を瞑ったまま否定した。

彼がそんなことをするはずがないと信じている反面、疑ってしまった自分がなんだか居心地が悪くて、

「そっか、変なこと聞いてごめん」

わたしは謝罪してその場を去った。


この時、彼はどんな気持ちで否定したのか。


それからも彼の生活は変わらなかった。

そして、彼が熱を出して仕事を休んで布団で眠っていた時、枕元のスマホ画面にメッセージアプリの通知が届いた。


犬のぬいぐるみのアイコンのその人は、彼の体調を心配していた。

「体調は大丈夫(>_<)?」


わたしが呆然とその画面を見ていると、それに気づいた彼がスマホを拾い上げ、これは会社の同僚だと言って、また布団に潜り込んだ。


昔からわたしの勘は結構当たる。

きっとこれも当たっているのだろうなと、ぼんやりと、確証のない妄想を頭の中で巡らせながら、昼食の準備をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る