第16話
「ここがクリパか、相当でけえ街だな」
流石科学都市ということもあって、街の風景は科学、最先端、機械そのものであふれていた。飛び回る光の糸、さまざま機械音、次々に変形するビル、空を埋め尽くす電子版。
未来を見ているようだった
いや、これが現在なのか。どっちっかーつーと未来が現代に来たみてーな感じだな。
「じゃ、私たちクエスト行ってくるわー!
さ、でかいの倒すよ!ロバイル!」
「ったりめーだド派手にやるぞ!」
「2人には仲間集めと言っています。ささ、私たちも早く行きましょう」
バイブルが小声で言う。
「よし、行こうか」
街をバイブルの後に続いて進んでいく。
街は明るく、半神達が完全に征服したような感じがする。人間もいつかこういう街を作るんかなぁ。俺はありのままの自然も好きだけどな。
かなりの間歩き、街の外れまで来た。
バイブルが「ここです」と言って手の甲を下にして手を向けた。
その家は他の家とは違い、ごく平凡な家であった。よく日本にある二階建ての一軒家と同じだ。よく4人家族くらいが住みそうな。
「ここなの?」
「そうですよ。さあ、行きましょう」
絶対住んでるのは変わってる人だと見た
「ジーヒス先生!今着きました。バイブルです」
扉が開くと、そこには30代程に見える男性が立っていた。
ほらみろ、やっぱり変だ
まぁ予想してた「変」とは違うが
ファストは性格が変だと思っていたが、この時「変」だったのは彼の体であった
なんでさ
こいつ手6本あるんだ?
「やぁバイブルちゃん。そして君が地球から来た子だね。よろしく」
そう言ってジーヒスは手を差し伸べて来た。
「おっと、名前をいうのを忘れていたね、私の名前は阿修羅・スウィル・ジーヒスだ。気軽にジーヒス先生とでも呼んでくれ」
「よろしくお願いします」
まあ最初は淡々とした感じでいけばいいだろう。
「さあさあ、早速検査だ」
子供の頃から思うけど、検査って聞くとマジでドキッとするんだよなぁ
ファスト達は家の中へ入った
家の中もごく普通である。
なんか安心するけど、期待はずれって感じがするんだよなぁ。
「こっちだよこっち、ここに立って」
ファスト達が立たされた場所は特に何もない場所
だったのだが、
「オゥサミ」
そう唱えた瞬間、床が稼働し始めた。
自分たちが乗っているところの床に正方形の切り込みができ、降下した。数秒間降下するとそこは巨大な、研究所であった。ロボット達や人型のロボット、ほとんど人間そっくりのロボット(ヒューマノイドと呼ぶべきであろう)があちらこちらにいたが、特に何もせず、談話したりトランプなどをして遊んだりしていた。
また、半分期待はずれぇぇ!!
「なんでこのロボット達は遊んでるんですか?研究とかしないんですか?」
「人間が研究をするとしたら、そのような光景が見られるだろう。しかしここは神から半神、悪魔、天使、修羅神仏、ありとあらゆる壮大な力を持ったものが集まるところだ」
こいつはなにが言いてぇんだ?
「つまり、
バイブルが話し始める
「例えばある菌が現れたとして、この菌はどういう特徴、メリット、デメリット持っているのだろうとなった時、人間はまず培養して、試験体に次々に試験していきます。しかし、それではとてつもない時間がかかります。それは人の動くスピードがあまりにも遅いのと、思考のスピードもとてつもなく遅いからです。また、効率も悪く、実験台となるものを犠牲にしなければなりません」
「しかし、
次はジーヒス先生が話し始める。
「我々は高速で動き、考え、また、君の知っているコンピュータとは比べ物にならないほどの性能を持つコンピュータを使って架空実験を行うことができる。その結果、君たち人間が行えば5年はかかる実験を、10秒ほどで終わらせることができるのだ。確かにこの世はとても広く、まだわかっていないことの方が多いという考えもある。しかし、今わかっていることは大方全て研究済みなのだよ。よって、僕たち研究者は基本暇なんだね」
5年を10秒で 研究者が暇
この次元がこんなに技術が発展している理由がわかった気がする。
「さぁ、検査を始めようか」
「は、はい」
どんな感じで検査するのだろう。気になるなぁ
「結果を単刀直入にいうと、
「えぇ!もう終わったんですか?」
「あぁ、終わったよ」
「ご主人様、この世界では驚くことが多いので今のうちに免疫をつけないとショック死で死にますよ」
いやいや早すぎねぇか。秒どころじゃねぇよ
「このスキルは新種だ!おめでとう!」
「いやまだ気持ちの整理できてねぇし!てか嬉しくねぇ!!」
「ははは、だろうね」
だろうねじゃねえよ!
「スキル名はモブ。効果としては姿が平凡になり、あまりみんなから気にされなくなる。また、他の人から忘れられやすくなる。全ステータスが50になる。あと、絶対に敵を倒せない。だね」
「そのスキル、何か利点あるんすか?」
「ファストくん、どんなスキルにも利点と汚点があるんだ。このスキルは一見汚点しかないように見えるが、必ずそれに匹敵する利点がある。それを見つけるのは、君の仕事だ。こちらでは既にいくつか利点を見つけているが、それは君が見つけるべきだと私は思う」
「なんでですか?」
「今から少し重いが、とても大切な話をするぞ。君はまだ知らないだろが、この世には世界定理というものがある。ありとあらゆる世界で必ずこれは元から決まっている、動くことのない不動の定理だ。そのうちの1つに、
『幸福と不幸は常に一対一であり、幸福は努力をすることで得られ、不幸は楽をすることで訪れる』
とある。今私が君にこのスキルをの利点を教えることは君にとって『楽』であり、それは不幸を招くことになる。今は理解できないだろうが、いつか必ずわかるはずだ。必ずな」
なんかホントに重い話になったな。まぁ今は半信半疑で留めておくか。
「まぁといっても今のままじゃ辛かろう。1つスキルを教えるよ。ただ、こちとら研究者なもんで、戦闘に関するスキルは何一つ持ち合わせてない。まぁ役に立つかどうかはわからんというかほぼ役に立たない、いや、役に立たないと思うが教えよう」
えぇ、えぇぇ すげえ微妙な心境
「技宝石を差し伸べてくれ」
ファストが技宝石をのある右手を差し出すと、それに着けるようにジーヒス先生が技宝石をかざした。
宙にパネルが現れ、文字が表示される
スキル習得完了
スキル名:“核修復”
「本来核が破壊されるとこの世の生命は死ぬ。また、核は基本修復できない。このスキルがない限りね。ただ核を修復するのには尋常ではないパワーが必要であり、このスキルを持っても回復できるのは薄皮1枚分くらいだ。つまり、このスキルが活躍するのは敵に核を薄皮一枚切られた時だけだ」
え、それって…
「まぁそんなシチュ無いな」
やっぱし
「まぁ受け取ってくれ。あとこれもあげるよ」
そう言って僕に渡されたのは、ヒポックスの実というアイテムだ。
「これはHPをマックスにする超が100個つくほどのアイテムでな、レア度でいうと、おっとレア度も知らんかな、レア度は20段階あってこれはレア度は11だ。普通に買うことはもちろんできないぞ。この実がなる木は今のところ二つしか見つかっておらず、それも5年に一度身をつけるかつけないかくらいの代物だ。大切に使っくれ。まぁ惜しみすぎて使わないのもダメだが」
「えぇぇぇ」
えぇぇぇぇぇぇ、本当に超が100個くらいつくほどのレアアイテムじゃん。えぇぇぇぇぇぇ
「でもなんで僕に?」
「私を見たらわかると思うが、私は阿修羅族だ。そして我々阿修羅族の起源、阿修羅王である阿修羅・
「では、行きましょうか。ご主人様」
「あぁ、うん。あの、今日は本当にありがとうございました!」
「いやいやなんのなんの」
「あぁ!大事なこと忘れてた!お金はいくら払えばいいでしょうか?」
ジーヒス先生は少し戸惑った顔をしたあと、大笑いし始めた。
「ハハハ。あのねファスト君。この世にお金はないよ」
「えぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇええぇぇえぇ!!!!!!!」
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