第4話 大陸から群島へ
ロバートはロバート空間を求めて彷徨っていた。
それが文明の革新には不可欠な場所であるということを直観していた。
繰り返される実験の中から、「ロバート空間3号」「ロバート空間4号」を作った。しかし、ロバートはこれにも満足することが出来なかった。
さらには「ロバート空間の作り方」という一般大衆向けのマニュアルも作ったのだが、これについては再現できないという苦情が殺到した。一歩間違えば、マスコミの餌食になっていたことだろう。
そんなロバートの苦悩は、この断章からも読み取ることができる。
「妖精の悪戯」
ロバート空間が消滅しただって?
そんな馬鹿な!!
ロバート空間とは、宇宙に存在しない空間の総称だ
存在しないものが消滅する
まったく理解できない
これは妖精の悪戯だ
妖精は悪戯が大好きだ
あれは、この俺様を地球に引き戻すための策略だったのだ
俺様はロバート街道を通り抜け
ロバート革命を成功させ
ロバート大陸を発見した
そしてロバート爆発が起こり
ロバート大陸はロバート群島となった
これが後期ロバートだ
そして今、ロバート問題に取り組む私がいる
一人喫茶店で頭を抱えている私がいる
妖精よ
妖精ちゃんよ
妖精さまよ
どうか私をロバート空間に戻して欲しい
地球の空気は好きになれないんだ
大好きなアレをあげるからさぁ
現代文明の喧騒を離れて静かに研究するということは、とても難しいことのようだ。神様の指令を受けてから、すでに10年が過ぎた。
ロバート空間。それはただの幻影だったのか。
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