26 世界でもっとも人気のギャンブル

 世界でもっとも人気のギャンブルは競馬だろうか、それともカジノだろうか、はたまたパチンコだろうか。

 2037年の世界ギャンブルランキングの1位はパチンコ・パチスロだった。実は数十年前からずっとパチンコがギャンブルでは世界一の市場規模である。パチンコとパチスロは2010年代から電子化され、デジタルギャンブルという新ジャンルを形成している。電子ルーレットなど、カジノの電子化も進んでいるが、先行しているパチンコ・パチスロには技術でも人気でもはるかに及ばない。

 ギャンブルにとって致命的なのはイカサマである。デジタルギャンブルは、ヒット率が電子的に制御される反面、人為的には制御されない。これをメリットと見るかデメリットと見るかは意見が分かれるところだが、結果的にはデジタルギャンブルはアナログギャンブルと遜色ない信頼性を得たことになる。

 日本国内のパチンコ店舗数は20世紀末には約1万8千店、市場規模は約30兆円で、これはカジノの世界市場の合計よりもずっと大きかった。1店舗平均1日500万円ということになる。これが国内市場のピークで、その後店舗数は1万店まで、市場規模は20兆円まで減少した。国内でじり貧となったパチンコ業界は海外進出を試み、ベトナム、シンガポール、中国(マカオ)などに次々と進出を果たしている。とくにマカオでは、カジノとパチスロの融合を試みて成功している。これが起爆剤となって、2020年代後半からは、ラスベガスを始めとして世界中のカジノにパチスロ台が設置されるようになった。パチスロ専門店も世界中で増えている。

 日本ではどの街にもあるパチンコ・パチスロ店だが、欧米ではギャンブル店の設置は厳しく規制されている。これに対してアジアでは日本同様に規制が緩い。このためカジノ内設置を除けば、アジアを中心にパチンコ・パチスロ市場の拡大が続いているのである。

 2038年も、パチンコ・パチスロは世界ギャンブルランキング1位の座を維持できるだろうか。残念ながら悲観的である。

 それはオンラインカジノが急拡大しているからである。2010年代末に5兆円だった市場規模は2020年代末には10兆円、2030年代末には20兆円と10年倍増のペースで拡大し、2038年か遅くとも2039年には40兆円を突破して、パチンコ・パチスロの世界市場規模37兆円を凌駕すると見込まれている。オンラインカジノの魅力は仮想通貨が使えること、またタックスヘイブンの口座を使えることである。このため世界の富裕層がオンラインカジノを非課税で楽しんでいるのである。またオンラインカジノは、ラスベガスやマカオにあるような豪華な施設がいらないので、還元率が高いことも魅力である。

 しかしパチンコ・パチスロ業界もオンラインパチスロで巻き返しをはかっている。世界ギャンブルランキング1位争奪戦は予断を許さない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る