21 日本海うちうみ化計画
これまでトンネル又は橋梁によって日本と大陸を陸続きにしようとする様々な計画が立てられてきた。北海道サハリン間天然ガスパイプライン計画はガス炊き火力発電所の廃止で無意味になった。日韓海底直流送電線布設計画は、日韓が共に原子力発電所の廃止計画を打ち出したため、着工直前に凍結された。原子力発電電力を融通するための計画だったからである。日韓海底トンネルは韓国の宗教団体(世界平和統一家庭連合、旧世界基督教統一神霊教会)が運動を続けてきたものであり、着工されたというデマが何度も流された。結局、自動車道トンネルとしては実現しなかったものの、福岡・釜山・ソウル・平壌・大連・煙台・青島・天津・北京を結ぶ国際真空リニア鉄道網のための海底トンネルが対馬海峡に完成している。大連・煙台間の渤海海峡トンネル計画は、北朝鮮の取り込みが必要なソウル・平壌・大連区間が難しい場合は、ソウルと青島を直接結ぶ黄海トンネルに切り替えられる計画である。国際真空リニア鉄道はサハリン経由で札幌・ウラジオストック・ハルビン・長春・瀋陽・北京も結ぶ計画となっている。全線が開通すれば、日本海と黄海湾奥部が環状真空リニア鉄道で囲まれることになる。
冷戦時代には軍事的観点から対馬海峡、津軽海峡、千島海峡を機雷で封鎖するアメリカ軍のウラジオストック閉じ込め作戦があった。
日本海うちうみ化計画は、これらの土木的な計画とも軍事的な計画とも異なる。海流カーテン(超電導磁気海洋シールドシステム)によって日本海を東シナ海及びオホーツク海から実質的に隔離するという、サハラ砂漠緑化計画と並ぶ世界最大級の人工気象改変プロジェクトなのである。とくに冬期における対馬海流の遮断によって日本海沿岸地域の降雪量を激減させることを目論んでいる。対馬海流を10%遮断しただけでも日本海沿岸地域の降雪量を50%低下させる効果があることがわかっている。この程度の変動は自然にも起きるからである。その代わり冬期の平均気温は2度近くも低下する。また海流に乗って北上するブリやイカなどの漁獲量も低下するものの、世界一とも言われる降雪量によって妨げられてきた日本海沿岸地域の開発価値の向上による経済効果は計り知れない。
2030年から実証実験が始まった計画は、2038年からいよいよ本運用される。韓国、北朝鮮、ロシアの合意は得られていないので、海流カーテンを引けるのは日本の排他的経済水域までに限られるももの、それでも対馬海流は最大で50%遮断でき、黒潮の蛇行、シベリア寒気団、ジェット気流などの予測と合わせて、降雪量を80%までコントロールできるとシミュレーションされている。
ロシアは日本海内海化計画によってウラジオストックが凍結港になるとして国際司法裁判所に計画の差し止めを訴えている。しかし対馬海流が完全に遮断されなければ、そのような事態には至らないだろう。韓国は日韓海底トンネルの建設費を日本側が負担したことから、事実上黙認している。北朝鮮は海流カーテンによる不利益が確認されれば戦争行為とみなしてミサイルで破壊すると威嚇している。中国は賛否を表明せず、この計画が東シナ海の温暖化に繋がるのではないかと、独自の調査を続けている。ワシントンとサンフランシスコは計画を歓迎している。ウラジオストック、ひいてはモスクワへの圧力に使えるからである。
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