第4話 奇襲なのに大声で叫びながら攻撃する奴、何がしたいんだ?
ひーたんが余計な探りを入れて来たせいでゴタゴタになったが、そろそろ決行の時間になった。
4人全員に消音と透明化をかけ、ボスが俺以外に反重力エネルギーバリアを張り準備が整った。
俺だけバリアが張られていないのは別にハブられているわけではなく、攻撃スタイル的に邪魔になるから、ワザと張らないで貰っているのだ。
そもそも反重力エネルギーバリアというのは、中心から外に向かって重力波が発生した状態になるもので、使用者は攻撃が当たりづらくなったり、光系の異能攻撃を99%以上の確率で回避できるようになる優れものだ。
しかしながら、投げたり引っ張ったりする系の武器を使用した場合、自分に巻きついてしまいハンデとなることが多い。
俺の武器は、鎖鎌だから言わずともわかるだろう。
「 キリりん!考えごとはそれくらいにしてそろそろ行くよ」
ソラが俺の耳元で叫んだことによって現実に引き戻された。
耳がぁぁ…
「ほらっ、早く手を」
ソラさんの手を握り身体を寄せる
別にイチャイチャしているわけではなく、能力の範囲上、身体が触れているとか半径2m以内とかいうのがあるらしい。
あーあ、ソラさんと二人きりなら良かったのに〜
死ねよ、ブサイクファミリーめ
ひーたんも、メデ男(笑)も見るに堪えない顔しやがってクソが。
「おいコラ、心の声が
「ワザと聞こえるように言ったんだよ」
「五月蝿えんだよ!このモブやろう!テメェの方がブスだろうが」
「やれやれ、全く言われないとわからないなんて…
人間世界には鏡っていう便利なものがあるんだぜ?」
「このっ!殺してや ッギァア!?」
「やれるもんならやって…グヘッ!?」
「いい加減にしろっ!」
鬼のように怒ったボスに二人とも殴られ、頭を抑えて転がった。
「ちょ、酷いですよ…旧人類なら死んじゃいますって!」
「いてぇっ!何すんだよ!コイツが悪りーんだろ」
「時間が押してるんだよォ!早くしろぉ」
半泣きのボスに再度殴られた俺たちは、その後は何も言わずに襲撃ポイントに移動した。
能力で移動した後、時計を見て貧乏ゆすりをしているソラさんに謝罪し、おふざけモードから意識を切り替えた。
さて〜、閃光さんは、ど こ で す かなぁ
◇◇
"閃光"のシュナイケル
光系の能力者で、旧人類と分類される人間を排除しようと動く過激派から人々を守るヒーロー的存在である。
その爽やかな顔立ちからメディアから引っ張りダコで、アイドルとしても活動している。
ヒーロー系の活動をしている能力者はほぼ全員が英雄ギルドと呼ばれる組織に所属しており、逆に言えばギルドに所属していない者はヒーローに公認はされないからだ。
序列132位
星の数ほどいる能力者で150位以内は超エリート的存在である。
一般的に知られているのは、光系の能力者で目にも止まらぬ速さで敵を瞬殺する
という情報だが、彼には隠し球があった。
太陽が出ている時のみ使用可能な"天の裁き"
傷ついても即座に回復する"超再生"
今まで隠し球は披露したごとはないが、この二つさえあれば、負けるごとはないだろう。
そうタカをくくっていた。
所詮、過激派なぞ雑魚ばかりと……。
◇◇
「馬鹿めっ!くたばれぇ"獄炎弾"」
俺が消音が掛けていなかったら気づかれて死ぬような真似をするひーたん
キミは一体、今までの戦いで何を学んだのかね?
つうか馬鹿はお前だろ!
たまに講義に来てくれる先生が言ってたじゃないか!
奇襲の基本は、絶対に当たる距離から高威力の攻撃を打ち込み相手を怯ませろ
ってさ!
技名を叫んだ瞬間、当たり一帯に100を超える火の玉が浮かび次々に"閃光"へと降り注いで行く
ーーーボォオォオオオオ!!!
着弾した火の玉は高々に空へと舞い上がり周囲を焦がしてゆく
ホラ、見たか
そう言いたげな顔をしてくるひーたんを無視し、奴を追う。
全ての火が降り注ぎ、やがて煙が晴れると中から人が現れた。
「全くゥ!全く効いていないぞォォ!」
馬鹿みたいに叫びながら出てきたのは所々焼けボロボロになった"閃光"
身体からジュワッと煙が出てみるみるうちに再生していく
「なっ!?俺の爆炎弾が効いていないだと…」
ベタだなぁ
「ふははは、効かぬわ!最強の隠し球たる"超再生"さえあれば貴様らに勝利などあり得ぬのだからな!」
隠し球を言ってどうする……
「アイツ馬鹿なの?」
「セリフがまるで悪者だな…」
「超再生とか殴り放題じゃん」
俺より悪っぽい……とブツブツ呟くボス
それな!
そう思うならちょっとは改善してほしいものだ。
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