第3話 組織のボスはカッコいいのは幻想
この世界に異能という力が目覚めたのは今から200年ほど前、世界中で戦争が行われていた頃だった。
突然現れた始まりの能力者と呼ばれる存在はその強大な力で全てを破壊尽くさんと暴れ続けた。
世界戦争で自分の国が滅びる前に星ごと潰されてしまうと恐れた世界各国は、戦争を終結させ急遽、敵に使う為の兵器を始まりの能力者を対象に使用した。
暴れていた始まりの能力者も別に意識がなくひたすら暴れていたわけでもなかったので、ある日パッタリと姿を消した。
そして始まりの能力者は2人の子供を持っていた。
異能を進行している宗教では女だったと記されており、聖母という扱いをされている。
が一般的には男と言われている。
ちなみに自分は男派だ。
始まりの能力者……いや、彼は二人の子供を作った。
能力で、だ。
その子供達は彼の死後、血を使った人工的能力者と自分達の子である血統能力者を作り出した。
ここで問題になるのは、その血だ。
どちらの血もない人間を旧人類
どちらかの血を継いだ人間を新人類とし、中でも異能力者と言われるのは圧倒的に血統者の方が多い。
新人類であるが、異能力者ではない者はなんなのか?
旧人類との違いは?
それは、レベルアップと言われる現象だ。
同種も含め生き物を殺すことで能力を上昇出来る点だ。
理論上、この上昇値に限界はないとされており、今現在、世界最強とされる結界の能力を有するフランツゲルト・オーブは、lv1600以上とされている。
lvが全てなわけではないが、
5〜100 真人級
101〜300 準龍級
301〜700 龍級
701〜900 幻想級
901〜1005 準神級
1006〜1500 神級
1501〜 始祖級
とされており、lv 1000を超えるくらいになるとほぼ攻撃が効かない上、生まれ持った異能の他に覚醒という形で力が目覚めることがある。
その世界最強さんは、うちの組織によると"反射"という能力らしい。
自由自在に変化し武器にも盾にもなる結界
ありとあらゆる攻撃を跳ね返る反射
lv1600以上という数値を持ち世界最強の身体能力
無敵じゃねえか!
と思っていたが、そうでもないらしい。
反射にも跳ね返せない攻撃もあるし、結界も壊れるし、貼れる枚数も限界がある。
うちの組織では課外授業として世界的に有名な能力者を襲撃して戦いを学ぶというのがある。
一体誰がそんな無謀なイベントをやり始めたのか知らないが、少なくとも親父が子供の頃からあったらしい。
強制参加ではなく、やりたい人集合という軽い感じのイベントで、まあ、戦闘狂ばっかだからほぼ全員参加するが……。
「親父ぃ、行かないの?」
「ああ、その日ちょっとヤらなきゃいけない奴があるからな」
「強そうなやつ?だったら連れてってよ」
「ああ、強いがお前はダメだ」
「ね?ね!見るだけでもいいから!」
親父が強いというくらいだから相当な強さなのだろう。
"結界"、"重力"に並んで三大能力と歌われる"金属操作"
その"金属操作"を持ち高威力かつ広範囲での殲滅を得意とする親父が、強いと言っている……絶対やりたい!
能力者に能力について聞くのはタブーだが子供の頃、砂漠で砂鉄で作られたドラゴンがテロ組織にブレスを吐いて壊滅させる姿を見て"金属操作"だと確信している。
見るだけとでも言っておけばなんだかんだ理由つけて戦っちゃっても問題ないっしょ!
「絶対にダメだ。お前は、そう言っていつも戦うではないか!お前はイベントの方でも行っておけ」
バレてら……。
◇◇
という訳で課外授業当日、俺を含めて計4名の参加となった。
今回襲撃するのは、"閃光"と呼ばれる異能力者で、戦闘記録がなく万が一に備え組織の中でも、強い又は単独で逃走できるメンバーのみとなっている。
うちの組織では、それぞれコードネームがあり、自らの異能と関係あるものになっている。
うちの組織のボスで重力系の能力者とされるメデオ
今日集まったのは、移動を得意とする転移系の能力者の空(ソラ)
新参者の癖に生意気な火系の能力者、火炎獄紅溶法蓮……とかいう意味わからない名前なので"ひーたん"と呼ばれている。
そして空間系の能力者とされる俺、キリ
斬るとか霧とかいう意味を込めてつけたコードネームだ。
ソラさんと俺の名前は普通だと思うが
ボスのコードネームはセンスがないと思う。
重力から連想して星→流星→メデオとかクソダサいと思う。
ボスは知らないかも知れないが構成員たちは『メデ男、メデ男』と書いて裏ではめっちゃ馬鹿にしているのだ。
何故やつがボスをやっているのか疑問に感じることもあるが、面倒ごとになった時に簡単に切り捨てられそうだから丁度いい。
おっと、どうやら"閃光"さんは、今お仲間達と食事をしているらしい。
先に近くまで移動して偵察して来たソラがそうボスに報告していた。
「おーい?おい、聴こえてますかね?キリ、いつもの頼む」
「へい、お待ち!今日は新鮮なの入ってるよ!」
「そういうボケはいいから!」
「へいへい」
ボケに乗らないクソみたいなボスの命令を渋々聴きながら準備を始める。
いつものとは、俺の能力効果の一つである消音と透明化をかけてくれと言うことだ。
「なぁなぁ、ホントお前なんの能力だよ。めっちゃ気になるんだけど」
「は?殺すぞ、死ね」
「ちょちょちょっと待て!」
「ひーたんやめろ、能力を聞くのはタブーだ。特にキリりんは秘密主義だからなぁ」
とソラ
秘密主義ではないけど、嘘をつくならまずは味方からというではないか。
俺は弱点を突かれないように、騙して惑わせて死亡率を低くしているだけさ。
空気を読めないひーたんを殺そうと思ったがよく考えたらこの後の"閃光"との戦いで風除けくらいにはなってくれそうだから生かしておくことにした。
はぁ…殺してぇ。
ま、ボスの馬鹿息子だから殺せないけどね。
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