仲間探し編
31話 Let's go 王都
「頼む!一生のお願いだ!」
俺の世界のお決まりのフレーズを言うリザードマンのディム。
それ本気の顔で真剣な目で勇人を見つめていた。
「う~ん…」
勇人はとても悩んでいた。手を顎に当て考える。
勇人が悩んでいると、親方が言った。
「いや、だめだ。ディム、そなたは行けん」
「なんでだよ!俺だって魔王城に行きたい理由があるんだ。プレアのところまで行きたいんだよ!
あいつの所に行って1発ぶん殴らなきゃ気がすまねえ。今まで仲良くやってきたのに急に裏切りやがって!最初から仲間じゃない?俺とあいつの思い出は全部偽物なのかよ!」
「なるほど、それでお前…」
納得したように勇人は言った。
「お願いだ親方!俺も勇人と一緒に行かせてくれ!」
「だめだ」
「どうしてだよ!」
はぁ…とため息をつき親方は言った。
「今、そなたが抜けてしまえばこの集落はまとまりきらんだろう。プレアもいなくなった今お前の存在はこのズブランダ山の魔物コミュニティーに必要なのだ」
「あっ」
気づいたディムは声をあげた。
「でもそれは親方がやってくれれば何とかならないのか…?」
勇人は小さな声で反論した。
「今はな…しかし、後継者がおらんこの集落ではディムが抜けてしまえば後々まとまらんのよ…」
「なるほど…」
納得した勇人はディムの方を見てみる。
「ぐぬぬ…」
「(いや、ぐぬぬってお前がやっても可愛くないから)」
心の中で勇人は突っ込みを入れた。
「まぁ、そういうわけでディムそなたは勇人殿について行くことはできん」
「ではせめて、何か力に成れるものを…」
「ふむ、確か私の倉にアイテムがあったな…」
そう言うと親方は穴でなにやら探し始めた。
「おお、あった。これだ」
そう言いながら親方は日本人にとって、いや日本の小学生にとって馴染み深い物を取り出してきた。
「危険な時はそれを使うといい、助けがくるぞ」
「これ、防犯ブザーじゃねーか!」
手に取ったものを見ながら勇人は言った。
「何を言ってるんだ貴殿はそれは由緒正しいマズィックアイテェムだぞ」
「何を言ってるんだはこっちのセリフだこのバカ!こんなものがマジックアイテムなわけないだろ!」
ゼエゼエと息を切らしながら勇人は言い終えた。
「ほんとに役に立つものだ。もっておけ」
「まあ、いい。ありがたく受け取っておこう。さて、それじゃあそろそろ転移の準備をしてくれ」
「うむ、では先ほどそのマズィクアイテェムと一緒に取り出したその鏡の前に立て」
「マジックアイテムって普通に言えよな…これの前に立てばいいんだな?」
そう言うと勇人は二メートルくらいある鏡の前にたった。
「今から貴殿をそれで王国の近隣の森まで飛ばそう、そこからは貴殿の力次第だ。」
「ああ、わかった。今までありがとうな!」
「おう!ピンチになったらそのマジックアイテムを使えよ!俺の行けない気持ち込めてあっから!俺の分までプレアをぶん殴ってくれ!」
ディムは一緒に行けない想いをこのマジックアイテムに込めてくれたらしい。
「うむ、貴殿の武運を祈ろう」
激励の言葉をくれた二人に少しばかり寂しい気持ちを持ちつつも勇人は次のステージへと足を踏み入れた。
まおいも!!~妹は魔王様!??~ おれお @Moana0203
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