第19話 親方はドラゴン

「ド、ドラゴンだと…」


目の前にいる巨大なモンスターに勇人は驚いていた。



「いかにも、私はそなたら人種で言うところのドラゴンというものだ」


そう言いながらドラゴンは体を上手く折りズシンと穴の入口に座った。



「さて、勇人よ…そなたに頼みたいことがあるそのために私はそなたをここに呼んだのだが…」



「いやまて…ちょっとまってくれ…」


用件を手早く伝えようとしたドラゴンの言葉をさえぎり勇人はドラゴンにたずねる。



「頼み事なら今は聞く気がないんだ。なんせ大切な妹のピンチなんでねすぐに助けに行かなければならない」


「ああ…そのことならディムから聞いている…だが慌てることはないぞ。なんせそなたの妹が捕えられているところはメスゴブリンがいる所だからな…」


ディムというのはリザードマンの名前だ。



「はっ…?」


勇人はキョトンとした顔をした後「聞いてねえぞ」とゆう怒りの目をリザードマンに向ける。



「いやっあそうか…お前には言ってなかったんだっけか…スマン…メスゴブリンだからお前の妹に欲情しないと言っておくべきだった」



「てめえ!コノヤロウその事を先に言えよ」



「ふむ…もしそなたがゴブリン退治に我々の協力なしで行っていたらそなたが妹の前で凌辱されていただろうな」


説得力のある声で呟いたドラゴンの声を聞いて勇人はどっと冷や汗をかく。



「そう言えばオスゴブリンはどこにいるんだ?」


勇人はメスがいるならオスもいるだろとなんとなく聞いてみた。



「ああ…オスゴブリンなら外の森にすんでいるよ。勇人君が森を通ったのなら1度でも彼等にあっているはずだよ」


プレアと呼ばれていたオーガが質問に答えた。



「外の森のゴブリンたち…あいつら元気にやってんのかなぁ」



「そうだ…たしか君が彼等に家の作り方とか教えてやったんだっけ…なつかしい


なぁ」



しみじみとした思い出話が聞こえてきて勇人は内心「すみません!すみません!うちの妹がやっちゃいました!」と叫び謝っていた。




「さて、では本題に戻るとするか…」


ドラゴンが威厳のある声を響かせピリッとした空気が再び穴の前に漂う。



「勇人よ。そち、我々の仲間となって一緒にゴブリンを倒してはくれんか?」


迫力のある顔を近づけ問いかけるドラゴン


「なるほど…俺へのメリットがあるのはわか?んだがあんたらはなんでゴブリン倒すんだ?」



「ほお?と言うと?」



「おれはただ妹を助けたいからゴブリンを倒しにいくんだ。だから俺としてはゴブリンを一緒に倒してくれる仲間がいるのはありがたい。だがあんたらは同じモンスターだ。普通は一緒に生きていくはずじゃないのか?」



「なるほど同じモンスターであるゴブリンを我々が倒しにいくのはおかしいとそなたは言うのだな」



「そうだ、俺としてはその理由を聞かないと一緒に倒しに行きたくはない」







「わかった聞かせよう。今この現在ダンジョンに起きている異変を…」


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