第18話 親方!?
う…うう」
唸り声をあげながらムクリと起き出した勇人。
「おれはいったい何を…」
いまだにズキズキと痛む頭や体を触りながら先ほど自分に起きたことを思い出す。
「はっ、そうだサラ…サラが危ない!!」
立ち上がり外に出ようとしたとき何者かに抑えつけられた。
「おっと…動かないでくれよ…こっちも君を殺したくはないからね」
勇人を抑えつけているのは鬼の姿をしたモンスター。つまりオーガである。
「はなせ!俺はサラのところに行かなくちゃならないんだ!」
叫ぶ勇人の元に聞いたことのある足音が近付いてくる。
「全く…牢屋から出してやったのにまた入る気か?お前はあれか?バカなのか?」
「うるせーよ!最愛の妹 (二人いるのだが)のピンチとあらばすぐに駆けつけてやるのが兄の務めってもんだろ!そんな俺の行動を止めたお前の方がバカだな」
勇人は謎理論を展開する。
「ハッそんなバカに止められているお前は大バカだな…お前にはピッタリな呼び名だ大バカよ」
「なんだとこの野郎!」
一触即発となりそうな両者を止めながらオーガは
「君ら本当は仲がいいだけだろ…」
と少し苦笑いしながら呟いた。
その後も親方というやつの所へ向かうといい歩き始めたが歩きながらも口喧嘩をしていた両者にもう見かねたのかオーガが声をかけた。
「さて、2人とも親方様の所へ向かうんだ2人ともその辺にしておけ。特に人間君くれぐれも無礼のないようにね」
優しい口調で話してはいるが目が本気なオーガをみて勇人は少し身震いする。
「わ、わかった…心がけることにする」
そんなやりとりを横目にリザードマンは
「ふんっこいつの言うことはきくんだな…」
とボソボソ愚痴をこぼしていた。
「す、すごいな…」
目の前に大きな穴がありその穴は軽く見ても勇人10人分くらい…15メートル以上は軽く越していたと思う。
その穴の前でオーガとリザードマンの2人はひざまずき頭を下げている。
「親方様!例のものをお連れ致しました」
リザードマンが穴に向かって叫ぶと少し遅れてズシンズシンと地響きが奥から響いてくる。
「な、なんだ!?」
「うるさい!大人しくしていろ」
急な地響きに驚き慌てた勇人の頭を強引にリザードマンが抑えた。
「いや何すんだっ、お前」
「静かに親方様の御前だよ」
リザードマンに頭を抑えつけられた反抗しようとした勇人を今度はオーガがそれを止める。気づくと地響きは治まっていた。
「ご苦労であったぞ、ディム、プレアよ」
「「はっ」」
腹の底まで響いてくる声にリザードマンとオーガは反応する。
「さて…そこの人間の者よ名を名乗ってもらおうか」
「俺は勇人…王野勇人というものだ」
名乗りながらゆっくりと頭をあげていくとそこにはあれ程までに大きい穴にすっぽり入るように存在するものがいた。
そのものを見た時勇人は恐怖心を覚えた。
その姿は巨大なドラゴンであった。
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