第17話 妹の危機

「ん…ん?」


 寝ぼけた顔でムクリと起き上がる勇人。



「ここは…」


 周りを見渡しながら状況を確認する。



「えーっと…たしか洞窟の大きな穴の前で休憩をしてて…」


 そう確かサラが疲れているようだったので穴の手前で休もうと言って休みを取ったのだ。



そんな時に妹にひざま…おっといけないこれ以上思い出すとまた鼻血を出して倒れてしまう。今はこの状況を確認しなければ。と立ち上がろうとした時頭が天井にぶつかった。どうやらここは狭い洞窟らしい。



先の方に出口らしき光があるので向かうことにした。狭いので赤ちゃんのハイハイの要領で進んでいく。



足元と手元が不安定なのでずっと下を見てハイハイをしていると前にある何かに頭をぶつけた。それは棒が何本も隙間なく建てられていて勇人ではすりぬけることが出来ない。狭いのはここまでで棒の先には普通に勇人が立てるくらいの広さの洞窟が広がっている。



ここは牢屋らしい。勇人は捕まったらしい。状況を理解し自分の無能さに少し落ち込む勇人。しかしそんな事より意識は自分の宝である妹に向いた。



「そうだ…サラだ…サラはどこだ…」



 大好きな妹の名前をこの後も呼び続ける。だがいくら読んでも返事は帰ってこなかった。叫び疲れ声も枯れてきた勇人は叫ぶことをやめた。叫ぶことをやめたすぐ後にこっちに向かう足音が聞こえてきた。



「ふん…やっとうるさくなくなったのか…別に叫んでいる時に力づくで止めるのも良かったんだがお前、中々の力があるようだし面倒だったから疲れるのを待たせてもらったぞ」



 俺は檻から出してもらったが手錠を付けられそこにはチェーンが付いていて逃げ出せないようになっている。



「お、お前は…」


 相手の外見によってそのあとの言葉は出なかった。



「なんだお前もモンスターが喋るのはおかしいと思うか…?魔王も喋るぞ…?」



「ま、まあそうだが…」



 こいつの姿はいわゆるリザードマンであった。



「まあ心配するな…私達はお前の敵ではない…味方でもないがな…」



「まあそんなことはどうでもいい!妹はどこにいるんだ!」



「私達のテリトリーにはいないな…もしかしたらゴブリン達のテリトリーにいてもしかしたら捕まっているかもしれん…」



「ゴブリンだと…」



 その単語を聞き妹の身に危険を感じたのか勇人は手錠を壊し妹の元へ向かおうとする。



「お、おい…いきなりどうしたんだ…?こんな力残っていたのか…」


 リザードマンは必死に勇人をおさえていた。



「どうしたもこうしたもあるかー!よりによってゴブリンだと!?ゴブリンって言うのはな性欲モンスターなんだ!ふざけるな!うちの妹をどこぞのエロ同人みたいにさせてたまるか!!」



 うちの妹の処○が危ないとわかった時の勇人の力は凄く手錠を壊しリザードマンを振り払おうと何度も頑張っている。さすがのリザードマンもこの行動には先程までの冷静さを失い冷や汗をかき始める。



「お、おい!1回落ち着かないか!別にあいつらは性などに飢えていない!そう心配せんでも大丈夫なはずだ!」



「大丈夫だぁ??そんなわけないだろ!お前はゴブリンの性欲を分かっていない!!あいつらはなギャギャとか鳴きながら数々の女性冒険者を凌辱していく本物の性欲モンスターなんだ!そんなヤツらと1日も一緒にいてみろ!サラが妊娠してしまう!」



 血走った目をギラギラと輝かせながら反論をする勇人。勇人を見るとリザードマンはため息をして「しょうがない」と言いながら勇人を抑えつつ右手を勇人に向ける。



「魔法はあまり得意ではないから手加減できんかもしれんが…『サンダー』」


 そう唱えると勇人の体に小さい雷のようなものが当たり勇人の体に電流が流れていく。



「ぐわあ!」


 勇人はそう悲鳴をあげると気絶したのかバタりと勇人は倒れた。






「全く…なんでこんなやつを親方様は拾ってきたのだろうか…」


 そうため息をついたリザードマンは入ってきた奥の穴に勇人を連れ戻っていった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る