第16話 至福のひととき


「うーん…しかしなかなかモンスターいないな…」


 通っている道をみて勇人は言う。



「そうだね…死体すらないってことは食べるモンスターがいるか死体を操るネクロマンサーがいるのかな?」



「ネクロマンサーってあれか?死体を操るやつ」


 警戒しながらダンジョンの奥に入っていく勇人達



「うん、そうだよ」


 ずっと無言だと嫌だというサラの申し出により先ほどから情報の交換やたわいのない話などをしながら歩いている。



「ネクロマンサー自体は1発殴れば済みそうだが…やっかいなのは大量のモンスターが操られているってことか…」



「そーだね…ちなみに私が森をなぎ倒したみたいな魔法がまた使えることがあったとしてもダンジョンが壊れて2人とも生き埋めになる結果しか見えないから当てにしないでね」



「そおだな…まあなんとか考えとく」


 色々と対策を立てながら勇人達は奥へと進んでいく…。





「ん?なんかでっかい穴のあるところに出たな」


 会話をしながら進んでいって1時間ほどが経ったただろうか…ダンジョンに入ってからだと3時間近く経っている。デンティーの修行の成果で勇人はあまり疲れていない。しかしサラにはやはり疲れがみえていた。



それを確認した勇人は「ここで休もう」と言って穴の少し前で腰を下ろす。サラも頷きあとに続いて腰を下ろす。疲れが溜まっていたようでフーっと息を吐きながら壁にもたれかかった。



「さて…多分この奥はダンジョンで一番深いところになってくるだろうから今までで一番気をはらなきゃなモンスターを見つけたらお目当てのレベル上げを始めよう」



「そうだね…」



 勇人の言葉を聞きすこし顔がこわばるサラ。それを見た勇人はサラの気を緩めようと


「突入するのは休憩のあとだ。しばらく休んでから行くからゆっくりしとけよ」


 と言葉をかける。



「うん。わかったよ」


 その言葉を聞いて安心したようにくつろぎ始めるサラ。



「お兄ちゃん…ひざまくら…して…?」


 ん?幻聴だろうか勇人は一瞬頭がおかしくなったのかと思った。まさかカワイイ妹にひざまくらしてと言われるなど夢のまた夢であることが起きるはずがない。



「だめ…?」


 ダメと言われましても…これは夢だからなぁそおか夢ならいっか今は夢なのだろうと自分を信じ込ませ


「いいぞ!こい」


 と言った。するとサラは遠慮なく勇人の太ももあたりに頭を乗せて勇人の体側に体を向けて寝ている。このリアルな感触に勇人は夢じゃないことを確信し死んでもいいと思った。



 サラはそのままスースーと寝息をたてて寝ている。ひざまくらはされたいと思っていたがするのも悪くない!!とてもいい。寝顔がカワイイ。脱がしてしまおうかいやそれは流石にまずいか。そんなことを考えて鼻血を出すほど興奮しまくってしまった勇人。



 勇人はそのまま至福のひとときをたのしみながら眠りについた。



 前回に感じた不穏な空気などを忘れて…。




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