第15話 不穏な空気

「なんだよ…これ」



つい先程まであった森が荒地に変わりそれがズブランダ山のふもとまで続いている。しかも途中途中にモンスターの死骸がある。とても見苦しい光景だ。勇人達はそんなとこを抜けズブランダ山のふもとまできていた。ちなみにサラは魔法を打ち終わった時からずっと気まずそうに無言でついてきていた。なにか大事な秘密でもあるかのように。



「なぁサラ」



「な、なにっ?お兄ちゃん」


俺が話しかけるととても動揺しているようだった。



「さっきのは、何だったんだ?」


核心をつく質問をした。



「あのね、これをやったのは私って分かるんだけど…魔法打った時のことはあまり覚えないの…」



「そ、そおなのか?二重人格みたいな?」



「それとは違うんだけど普段から凄い魔法を使えるわけじゃないの…普段は火を出すくらいしかできなくて…」


サラは暗い表情で説明する。話を聞く限りサラは悪くないのだ。覚えてないのだから。



「そおか、まあ強いのは心強いし大丈夫だ!!」



「うんっ」


その言葉を聞いてサラは予想と違う答えが返ってきたからか動揺した様子を一瞬見せたがすぐに普段のかわいいサラを取り戻し笑顔でうなずいていた。



そんな様子を見て勇人は「なんとかはげませたようでよかった…魔央にこんな事言ったら蹴っ飛ばされるのかもな…蹴られてえな」と心の中て安心すると同時に変態宣言をしていたことは秘密である。







~魔王城~



「なんか寒気がする!!!」


「大丈夫ですか魔王様…」


「(兄貴のキモ妄想に登場しているような気がしたけど気のせいか)」








~ズブランダ山~



しばらく休憩してからふもとの探索を始めた勇人とサラ。



「うーん…デンティーさんはふもとにダンジョンの入口が隠されているって言っていたんだけど…」



「全然隠れてないね…」



探索して数秒で発見した罠だと思うくらい堂々と登場しているダンジョンの入口に入っていいか疑っている勇人達。しかしここ以外入口のようなものは見つからないためサラの魔法で隠す役割を成していたものが無くなったのだろうと解釈し中へ入っていった。



「意外と中は涼しいんだな」



「そうだね」


洞窟の中に入ってどんどん奥に進んでいく2人。2人はランプに火をつけて周りを照らしている。



ちなみにこれはサラが普通の状態でできる「ベル」という魔法で明かりを灯したり火をつけたりするのに使う魔法らしい。最上級になると「ベルベヤー」と言うらしく何個もの光の玉をうろうろさせられるらしい。使える人は多いらしいのだが消費魔力が多いためこの魔法は上級の魔術師しか使わないらしい。


そんな感じで洞窟の中を進んでいった2人だがしばらくして違和感に気づいた。



「なあ、サラ」



「うん…お兄ちゃん…分かっているよ」



「そうか…でもなんでだと思う?洞窟に入ってから一度もモンスターに会ってないぞ(・・・・・・・・・・・・・・・)ここはここらではそこそこの魔物が沢山いるんじゃないのか?」



「さっきゴブリンを沢山倒したからかな…?わかんないけど…不自然だからなんかあるのかも…」



そんな不穏な空気を感じながらダンジョン探索は進んでいった。



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