第14話 何者!?

「よしじゃあ行くか!」



「うん」


 結局サラに説得され連れていくことになり2人で村を出た勇人。



「そういえばサラ」



「んーなに?」


 歩いて1時間したところで勇人がサラに話しかけた。



「今からズブランダ山に行くことは知っているんだよな?」



「うん!知ってるよ」


「そこそこ強いモンスターがたくさんいると聞いているんだがサラは大丈夫なのか?」


 目的地であるズブランダ山は村を出た直後から見えてはいるがまだまだ遠い。その山の手前にはうっとうしいゴブリンがたくさんいる森があるという。なのでサラは生きていけるか守りきれるか心配になったのだ。デンティーの修業を受け強くなったとはいえ不安なものは不安だ。


 心配の原因である本人はきょとんとした顔で勇人を見ている。



「どうしたんだ?まさか強いモンスターが出るとか聞いてなかったのか?」



「ううん…知ってたけど大丈夫!お兄ちゃんは強いから守ってくれると信じてるもん!」


 勇人の不安はそこで消えた。守れるか守れないかじゃない。この可愛い妹の笑顔を守らなければならない!と勇人はサラの頭を撫でた。



「いざとなったら俺を置いて逃げろよ」



「いやだよ!お兄ちゃんがやられかけたら私が助ける!」


 などとまだ言っているのだが。


 そうこうしているうちにズブランダ山のふもとのゴブリンの森の入口についた。勇人達は森に入って行く。ゴブリンのほかにオークなどのRPGで言う最初の弱い系のモンスターが沢山いるらしい。




「ギャ!ギャギャギャ」



「ふう…しかし数が多いな…」



 森に入ってからしばらくが立ちだいぶ進んだ気がするのだが全く山に辿り着く感じがしない。迷いの森と言ったところだろうか。これまで勇人は森に入ってからゴブリンを100体近く、オークを20体近く倒しているが、数は減らない。なぜかこいつらは単体で襲いかかってくるため戦いやすい。連戦で疲れた勇人達は休憩をとることにした。



「しかしこの森長いな…」



「そうだね…敵の数も多いね」



「しっかり休むことにしよう俺は寝るよ…」



「わかったおやすみ」


 そんな会話をサラと交わし勇人は眠りにつこうとするその時だった。



「ギャッ」



「ギャギャッ」



 たくさんのゴブリンやオークが俺たちを囲んでいた。そして襲いかかってきた。勇人は最初はたくさん倒していったものの疲労や団体戦への不慣れで攻撃を食らってしまった。



「ぐっ…サラ逃げろ!!」


 勇人は妹だけでも守ろうと声をかけたその時だった。サラはいつもの優しい妹とはまるで違う顔をしていた。



「邪魔よ…雑魚ども消え失せなさい」



 サラが強大な魔力をまとい始める。俺の魔力を軽く上回る圧倒的力だと思った。勇人は体の震えが止まらないのを感じた。



「我が領地に仇なす敵よ…塵となりて崩れたまえ…その肉体と魂は大いなる力の糧とならん!レグランド・バラサーク」



 魔法を詠唱したサラの周りの地面が割れものすごい速度でゴブリンたちに向かって動き出した。そしてその岩や土などはゴブリンたちを跡形もなく片付け森の木をほとんどなぎ倒し山まで一直線の道を作っていた。






「サラ…お前何者なんだ!?」




 思わずそう言葉がこぼれた勇人だった。


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