第10話 ご褒美②

「お…ちゃ…」


 遠くから声がする…。



「おに…ちゃ…!」


 だんだんと意識が戻ってきた。勇人を呼ぶ声が聞こえる。妹だ。これは最高の異世界の妹の声だ。俺の妹は魔央だけと決めていたがサラも中々の妹で困っている。魔央に秘密で浮気をしてしまおうと感じるくらいだ。おっとこれは秘密だ。



 そんなことより早く起きなければ。



「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」



「ん…ん~」



「あ、お兄ちゃんやっと起きてくれた~」



「サラか…」


 寝ていた勇人の顔をのぞき込むようにしてサラは立っていた。



「も~意識失ったって時は心配したんだから!お兄ちゃんが何をしようとそれはお兄ちゃんの自由だけどあんまり迷惑はかけないでよね!」


 口をふくらませながら言うサラ。



「ああ…すまない…」


 寝ぼけながら勇人は返事をした。



「デンティーさんに運んでもらったのか…感謝しなきゃな」



「感謝してよねデンティーさんに」



「あぁ」



「あ、あとお兄ちゃん寝てる時に筋肉は嫌だ!筋肉は嫌だ!美少女妹はどこだって言ってたよ??私のことそんなふうに思ってたんだね!嬉しいよ!」



「あぁ妹は本当に可愛いものだからな!それにしても筋肉?思い出せんな」



「え?お兄ちゃん記憶ないの?」


 サラがきょとんとした顔で勇人を見つめる。



「いや…記憶はあるはずだ」


 うーんと、うなりながら勇人は記憶を呼び覚まそうとする。



「デンティーさんのとこに修業しに行こうとして確か色んなデンティーに会って…筋肉…う!頭が…。」


 しかし脳が拒絶反応を起こしているのか思い出させてくれない。



「だめだ…思い出せそうにない…」


 残念そうに勇人はつぶやく。



「そっか~しょうがないね」


 サラはそう言いながら勇人のベットから離れていく…。



「とりあえず朝ごはん食べよ!!準備してあるからさ!」



「あ、ああ…そうだな…」


 そう言いながら勇人もベッドを抜け出した。



「あ、あと、着替えおいておいたから着替えてきてね!」



「分かった」


 勇人の返事を聞きとるとサラは満足そうに部屋から出て行った。それを見届けた後勇人は周りを見渡し着替えを見つけ素早く着替えた。着替えの途中で


「ああいう妹もかなりいいよな…」と思ったことはサラにはナイショだ…。





 RPGの村人がよく着ていそうな麻布の服に着替え、勇人は部屋から出て行った。



「そう言えば…俺はこの家の中身をよく調べていなかったな…」



 部屋から出ると反対側に2つ、部屋側に1つドアがあった。



「まずこの部屋に入ってみるか」



 反対側の2つの内の1つの扉を開けてみた。



「これは…トイレか?」


 おそらく便器であろう形をしたものが中央に存在していた。



「まあこんなもんか…つぎは…」と呟きながら隣の扉を開ける。



「ここは物置か?」綺麗に並べられたタンスや棚、そして木箱などが置いてあった。本や服などが置いてある。今はすべて見きれないので今度見るとしよう。



「さぁ…あとはこの部屋だけか…」



 勇人は部屋を出て最後の部屋のとびらの前に立っていた。



「まあ、今までの流れからして風呂とかだろうな…」


 そんなふうに思いながら勇人は扉を開けた。



「え?」「は?」


 扉を開けると下着姿で、サラが服を持ちながら鏡の前に立っていた。勇人は、サラの魔央とは違う妹とは思えないけしからん豊かな胸、そしてふっくらそれでいて柔らかそうな太ももなどに感動してしみじみとみつめいた。



「お兄ちゃんのヘンタイー!!」


 サラの強烈な平手打ちが勇人の頬に入った。





 ご褒美が…ご褒美がたくさんもらえた!やったぜ!と思っていたことも秘密にしておこう。



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