第5話 妹を追いかけるとろくなことが無い
翌朝…
「ふぁ~あ」
「どうしたの?眠そうだね?」
うっすらと目の下にくまがある勇人に山上が心配そうにはなしかける。
「あ、あぁ昨日妹が帰ってこなくてな…連絡はされてあったんだが家に帰ってこないことは初めてでな…夜は眠れなかったんだ」
「そうなんだ…それは心配だね…」
少しくらい顔をした山上は、心の底から心配そうにしている…。本当こいつもいいやつだよな…。勇人は思いながらその横顔を見つめた。
「ま、まぁ、帰ってこないのは初めてと言ったが帰りは遅いのは最近増えててな。妹のことに俺が首を突っ込むことはないだろう」
気を使わせないように勇人は考えながらそういった。しかし山上はかなりの心配性であった。
「最近になってって…それ妹さんなんかの犯罪とか巻き込まれたりしてるんじゃないの?…危険だから帰りは早くしなさいって言った方がいいと思う」
「む…確かにそうだな…。しかし妹を早く帰らすように言うにしてもその原因がわからないのでは説得ができない」
勇人は原因を知らずに説得すると
「なんも知らないくせになんなの」
とか、妹に言われて嫌われるというシナリオが安易に想像出来てしまうためできればそれを避けたいのだ。
「うーんそうね…」
さすが山上瞬時にそれを察してくれたらしい。
「あ、そうだ!!」
「なにか思いついたのか?山上…」
「うん、と言ってもあまりオススメはできないわよ?」
「まあ一応言ってみてくれ」
「わかった…妹さんのプライバシーに関わっちゃうけど…妹さんの部屋を調べてみるのよ」
「なるほど…危険は伴うがやってみる価値はありそうだな!!では早速今日行ってみることにしよう」決意を固め家へ向かおうとする勇人。
「うん…そうしよう!!ってまだ学校あるから!!!」
山上のツッコミはさすがだな、と改めて感じた勇人であった。
学校も終わり勇人達は帰路についていた。
「よしじゃあ行くかーいざ妹の部屋へ」
「よっしゃ行くぜーー!」「王野の家…楽しみ…」
「……いやなんか増えてるんですけど」勇人の家で2人きりになろう作戦を企てていた山上は、笹川と望月の乱入により阻止されたのであった。
電車をおりて勇人といえに向かう道中。
「で、なんで笹川と、ヨミちゃんがいるわけ??」
頭を抱えた山上が少し落ち込み気味で2人に聞いた。
「なんでってそりゃあ友達の妹のピンチとあらば駆けつけてあげるのが友情ってもんだろ?!!」
笹川の言葉に望月はコクコクと頭を縦に振り肯定する。
「まあ、人数多い方が頼もしいだろ。そして、着いたぞ」
勇人の家は普通の一軒家である。
「お邪魔します~」
と3人がいい靴を脱いで上がる。
「勇人の家って俺初めてだな~」「私も…」
「ほら、こっちに来てくれ。妹の部屋は2階なんだ」「わかった」
「了…解…」「おっけー」
とそれぞれが返事をしキョロキョロと周りを見ながら勇人について行く。
「ここが妹の部屋だ…先に言っておくがお前らは俺のあとに入ってこいよ…なぜなら妹の部屋という聖域にまず足を踏み入れるのは俺でなくてはならない下民には後から入ってもらうしきたりなんだ」
「聖域ってどんだけ妹あがめてんのよ…しかも下民ってあんたは王族か」
山上の相変わらず鋭いツッコミをスルーし勇人は妹と部屋に向き合う。
「(いつも妹がいて入れないからな…この機会だしっかり目に焼き付けておこう!)」
犯罪者に近い目をした勇人が扉を開けた瞬間勇人の目の前は突然白い光に包まれた。どこか違うところに飛ばされるような感覚だった。そこではやとの意識はとだえた。
「ん、ん~」
「ん?おぉ!!」
目を完全に開いた時勇人の目に入ったのは全く見慣れない光景だった。いつも通っている高校の道ではない。全く違う場所。
「ここは…どこだ…?」
今自分の身に起きたことに驚きを感じつつ勇人は呟いた。
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