第4話 妹がいなくなったら死ぬほど悲しいのは俺だけ?

今日も普通に1日を終えた。



「よ~し、HRおわるぞー」



「きりーつ、きおつけーれーい!」



 いつも通りにだるそーに、担任のせんせいが言って日直が挨拶をし終わると教室がガヤガヤと騒がしくなる。



「じゃあな勇人ー」



「おー、じゃーな笹川」



 剣道部の活動がある笹川を見送り自分も帰る支度をする勇人。そのあといつも通り山上が話しかけてくる。



「勇人ー、一緒に帰ろーよー」



「いいけど今日俺はよるところがあるぞ」



「へー、珍しいねいつもなら『妹が心配だから、まっすぐ帰らねば』って言って鬼のような顔で帰るのに」



「まーな」「できればそこはウソでも否定して欲しかったかなぁー」


 勇人の妹好きを再確認し心の中でガックリとうなだれる山上。



「王野…はやくいこ…」「そうだな。じゃあいくか望月」



「え?ヨミちゃんも一緒に行く…の?」望月の家は勇人や、山上の家とは逆方向のため山上は不思議に思ったのだろう。



「ああ、それはだな…」ちらりと望月のほうを見て、言っていいのかという確認をとってみた勇人。それに気づいた望月はコクコクと、首を縦に振って「大丈夫」とOKサインをだす。



「まあ本屋に行くからだな」「へー」



「あれ?あんまり驚かないんだな」「まあ、大体理由とかは想像つくからね」



「ほう…この俺の考えがわかるほどお前は高知能な人種だと言えるのかな?」


 ビシッと痛々しいポーズまでつけ格好を付けてしまう勇人。山上は飽きれた声で「はぁ」と溜息をつき自分の予想をいう。



「妹もののラノベを買いたいけど、何買えばいいかオススメも教わりたいし1人で買いに行くの恥ずかしいから一緒に来て欲しいってヨミちゃんに相談したってところかな」「なん…だと…」



 山上の言っていることがほぼ正解のため勇人は驚きを隠せないでいた。


「で、ヨミちゃんも欲しい本があったけど、あんまり1人で買うような本じゃなかったからちょうどいいと思っていっしょにいこうとしたってところかな」



「な…んで」


 望月の方まで当てられてしまい2人揃って固まってしまった。



「なんだ山上…お前化け物か…?」「山上…怪物…」



「せめて人にしてよね…」「なんでわかったんだ??」



「そりゃ、けっこー長く一緒にいるし勘ってやつね」「勘ってすげえのな」「うん、すごい…」



二人に化け物扱いされ山上は強引に「も、もうこの話はいいでしょ!!早く本屋に行こ!」



「え、お前も来るのか??」



「当たり前じゃない、ヨミちゃんと2人にする訳ないでしょ」とけっきょく3人で本屋へ向かう勇人達であった。




「ふ~買った買った」


「本当、沢山買ってるわね。妹もののラノベだけだけど…」「そうに決まっている!妹は神だからな!!」



 そう興奮気味に言っていたはやとの手には『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』や『エロマンガ先生』『妹さえいればいい』など見事な様に妹系で埋め尽くされてた。



「望月には、世話になったな~」



「そんな事ないよ…だって王野本屋についた瞬間妹もののラノベを10冊以上持ってたもの…私何もしてない」



「ああ、あの速さには俺も驚いたよ」




 望月とは3つ前の駅で別れていた。とても満足そうな顔をして帰って行った。


 山上とは「妹ものいっぱい帰ってよかったわね」と一言いわれ家の少し前で分かれた。



「あ!?妹が帰ってきているかもしれない!早く帰らなきゃ」


ダッシュで家に帰った。






「ただいまー」



 6月の少し暑くなってきているじきに走って帰ってきたため体中汗をかいていた。大量のラノベを入れてた本屋の袋も走り過ぎて今にも切れそうだ。



「あれ?まだ誰も帰ってないのか」



 なんの物音も足音がしないため勇人は不思議に思った。



「もう6時30分なのにな」



不思議に思いながらも勇人は、簡単な夕食を作り始めた。


勇人の家は両親の仕事の関係上遅く帰ってくるので食事は妹と当番制で用意していた。時間もないのでレトルトのカレーを用意し妹の帰りを待っていた勇人…。





 しかし、その日最愛の妹は帰ってこなかった…。



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