第零話 貴女への想いを綴って

貴女がいなければ俺はどこで止まっていただろうか。


研究という熱中するものがなければどこで諦めていただろうか。





君と出会ったのはいつだっただろうか。


確か初めて出会ったのは、中学校の部活。お互い子供で言い争いばかりしていた。


いや、子供だったのは俺だけかな。


普段は怖いところも多くて、近寄りがたかった。


でも、そんな君の中に見え隠れする強さや優しさに気が付いたら惹かれていた。


三年間、いつか告白しよう、いつか告白しようと先延ばしにしていた。


そして、遂に卒業式の日が来てしまった。


式の間中、悩みに悩んで君を体育館脇に呼び出した。


人生で一番の勇気を出したのに、告白を聞いた君は答えずに逃げてしまった。




高校は別々だったので、もう彼女には会うこともできなかった。


だけど、彼女以上に好きな人はできなかった。


いや、違う。彼女のことしか好きになれなかったからだ。


だから、研究に逃げた。


まあ今になって思えば、それで飯が食えていた訳で


むしろ彼女に感謝すべきかもしれないが。


それでもその時の俺は壊れた。


自暴自棄になって友達なんていらないと思って。


そうしてひたすら本を読んで、


ひたすら好きな事を調べ続けた。


三年後、俺はとある大学に首席入学した。






そして再び大学で貴女と再会した。


少し大人びた貴女を見て、僕はもう一度恋をした。


また友達として付き合いだして、二年。


その年のクリスマスの告白に貴女はやっとOKしてくれた。


躍り上がって喜んで、貴女に怒られたっけ。


そしてその三年後、俺は貴女と結婚した。


そう、今思い返せばその時があの世界の俺にとっての幸せの絶頂だったのだろう。





そして、そこから俺の人生を変える全ての物語が始まったということを…………

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