最終章:エピローグ

あの謁見後には、まだ話の続きがあった。

それは、姫の部室へ戻って、私は、共に中へ入り、訊ねた話だ。

 「やはり、王女…いやっ姉様は、素晴しい方だ。姉様が止めていなかったら、王を…だけれども…」と流石と姉様を誉めていた私であった。「王女は、王と同等な高位ですから、王を叩き直したって事ね」と微笑んでベッドの所へ行って腰を下ろしながら言った。「でも貴方様がいなければ、止め様がなくて、更に悲惨と化す所だったのです。ですから、貴方様が謁見を行わなければ、と私は貴方様に感謝しているのです。本当に祖父上様に似ていらっしゃいますね。民の為…未来を為にと姫は、私にお礼を言った。それは、私にもよく分らなかった。只、民の為、只、父様の為にと…思いが前に進んで行ったからなのだか…。姫にふと疑問に思った事を私は口にした。

「姫…私が捕まっている時に書かれていた手紙に、鶴の折り紙で合図して下さいというのは、何か王子である証とか意味があったのですか?」と言う。「そこは、まだ分っていらっしゃらなかったのですか?」と姫は驚いた顔でこちらを見ていた。「私は、姫の青い焔が眼にうつった時に、無意識に手を動かして、赴くままに折って鶴を完成させただけなのですが…もし、折れていなかったとしたら…」と私は、そこが気になって仕様がなかった。「恐らく、牢の扉を開けては、いませんでした。鶴という意味は、王家の位の王子に辺る者でしか知る事のできない証なのです。然も…ベルメス王が折り方を教えていたそうで…」と姫は、真実を話してくれた。「その証というのは、鶴の折り紙と関係があったというのか?」と真相に迫った。

「鶴は、千年生きます。王位継承に辺る王子の勲章がそれを表しています。よく胸の所に掲げてあります勲章を見直して下さい。引き継がれる者は、永く生きる為にその様な勲章となっているのです」と姫は、私の勲章を見て言った。確かに私の胸に掲げてある勲章は、羽ばたく鶴の勲章だった。それで、姫は、それだけを頼りに、見極めたというのは、凄い事で、姫に圧倒されそうだった。

「ベルメス王は、今も、私を見守って下さっているだろうか?」と天井を見上げて私は言った。「はい…見守っておられると思われます。必ず…見放さないでしょう。大事な子ですもの」と笑んでいた。私は、村長になっていた時の最後のベルメス王の言葉を思い出して耽っていた。

「カートス…自分…を…ど…うか…責…めない…でく…れ…。私…が…守って…きた…村…を…と…めて…くれた……カートス…い…きて…く…れ。そ…れが…わた…しの…さい…ご…のねが…い…だ」

「父様…ありがとう。私は、父様の分…立派に、生き抜いて姫と共に行こうと思います。父様の様に、立派な王となって、城を築いていこうと思います」と私は、父様に誓いながら生きて行くのだった。


                おわり

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焔の記憶 聖真子天蒼 @shoshinji

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