第11話:全ての記憶
「まず、これは、貴方様に仕えていたメイドからの話です。全てとは、言い兼ねないのは確かだと承知して下さい」と真顔で言う。
「わかった。分る分で良いから、話してくれ」と私は言う。「それでは、まず、貴方様が辞めてしまった切っ掛けとしては、二年前か最期の餐会前後の時でした。メイドに、貴方様は、『民衆の為に、私は、一般の者となって身を隠す』といったそうでした。その後、餐会にて王との縁立ちを告げて、すんなりと了承をどうしてか、貴方様は、ビックリした面持ちでした。餐会には、直ぐに城を後にして城から消してしまわれたといいました。その時、私は、何も姿を消すという情報を耳に通じられておらず、後にメイドから話を聞きました。どうやら、王は、王子をわざとその方向へ仕向けて、貴方様を追い込んだ様です。まるで実の子ではないように」と一つの真実を話した姫だった。私は、嵌ってしまった罠に、スッカリと入ってしまった如く、口に絶つ思いだった。「だっ大丈夫ですか?」と心配そうに話してくれた。
「ああ…話の続きを教えてくれ」と私は、直ぐに我に戻り、話をした。
「では…ガルディメル王子であった貴方様は、改名したのは、恐らくですが…長となる方が、カートスと命名を付けたのでしょう。その時に、貴方様は、素直に受け取ったのでしょう」と姫は、又しても真顔で話をした。
「どうも記憶が思い出せん。私が王子であった事は、姫が話して下さったから、確かだとわかったが、他の事が、喪失してしまっていて、どうしても無理難い」と落ち込んだ。
「そう落ち込まないで下さい。貴方様を充分に果し、そうでなければいけなかったから行われたのです。決して全て間違いとは、答えに難く思います。自信をお持ち下さい」と姫は、私を元気付けよう話して下さった。
「わかった。今すぐに、平和を齎すように、言わなければならない。私は、命に関わろうとしても、民衆を守るべきが為に」と立上り、意気強く、足を動かそうとする。
「ガルディメル王子、必ずダングラース王を阻止して下さい」と姫は、私に託した様だった。直ぐ様に、室を出て、謁見の方へ歩こうとするが、遠くから傭兵の声が聞えてきた。「脱獄したぞ!カートスの奴が、部屋から脱獄した!」と大声で張り叫んでいた。
直ぐに姫もそれに気が付いて、室から出て来て「この勲章をお持ち下さい。これがあれば、王子である証です」と手渡してくれた。
「ありがとう」といって胸に着けて、堂々と他の部室へ歩いた私だ。
「いたぞ!」と傭兵が気が付き、胸にも気が付いた。「あっ貴方様は…」と驚いていた。
「私は、ガルディメス王子だ!王との謁見を申し立てようと思っておるが、伝言を得る事ができる者一人を、願うが」と大声で叫んで、私は、傭兵達に話をした。
「王子様…よくぞお戻りになられました。」と傭兵の一人が近寄って言った。
「私に、おまかせ下さい。貴方様の伝言を担当させていただきます」と跪いて言った。
「よい、頭を上げても良いぞ」と私は、言った。
「私は、とても苦しい思いをしました。まさか、王子である貴方様が、牢に捕縛なされてしまい」と傭兵が言う。
「王の罠に嵌ってしまっただけの事だ。とにもかくにも、王との謁見を願う」と私は、全てをその傭兵に託した。その傭兵は、以前に、私に憧れていた者だった。
「承知しました。早急に伝えに行って参ります」と早走りで、その傭兵は、行ってしまいました。ついに、王との直面だと心に告げていた私だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます