第10話:再会
扉をノックする者がいた。直ぐに開かれ、そこには、大祭会で会った以来の姫が立っていた。
姫は、私の眼と姿をみて、驚きながら手を口に抑えていた。どうした事か、こちらも同様に驚きの表情を顕にして、口は流石に、押しえはしなかったが、運命の再会で姫共々、何も言えない立場であった為に、とりあえず、姫に、どうぞこちらへと手で合図をした。
すると姫は、一旦、扉をゆっくりと閉めた、ゆっくりとこちらの方を振り向いて、こちらへ走り出し、姫に思いっきり抱き締められ、私には、全くの立場上、わからなかった。でも姫の眼には、涙で一杯であったのは、少なからず確かだった。
時は、少し経ち、私の隣りには、姫がいて二人きりの状態であった。
「やはり、貴方様でしたのね。貴方様が牢舎に入れられている時に、私が青き焔を照して、鶴を折って下さった。ある折り方は、正しく王子であった証」と姫は言った。
「なっ何の事ですか…」と私は言った。
「…もう忘れてしまわれたのですね。それも仕方のない事ですよね。証とされてきた王家の存在を一切、王によって消されてしまったですものね」といった。
「私は、本当に王子なのか?村長の子ではなく、記憶が消えていた原因が…王」と私は、言った。「全ては、王に仕組まれていたというのか…?本当は、町村を縛らせる目的で法を定めたのではなく、私を殺す為に…。廃村にさせる迄も追い詰めていたというのか!、そのような父であったなら…私がその法をやはり変えていかなくては、王の思う壺となってしまう」と自覚した私は、怒りに満ちていた。「貴方様にしか、この国を変えていく事ができません。どうか、過ちを犯す王を止めて下さい。ガルディメス王子」と姫は、全てを私に託した面持ちで話された。
「私は、どうして、記憶を無くそうと、逃げ腰な思いで離したのだろう。何故でカートスと名を変えて残したのだろうか…」と疑問が浮上してきた。
「わかりました。私は、全て貴方様の事が、した事を知っています」と姫が不安にいう。
「どっどうして、知っていて、止めようとしなかったのだ!フィリネ姫…どうしてだ」と残酷の境地に立たされた気分だった。
「それは、告げる事も、止める事、禁じられていたからです。王位継承たる者には、自ら定めた赴きを止める事が法に定められていたからなのです」と恐れ多く言う姫。「姫…法に、定法に肖る事しかできなかったのか…下町を救える権利のある姫は」と姫を責めてしまっていた。「貴方様を救いたかった。勿論、民衆も…ですが肖るしか事ができなかったのです。そういう王の権限なのです。私も王の定法には、憤りを感じました。ですが…ガルディメス王子…分かって下さい。私は、王を止める時、民はどうなってしまうんですか?誰も和らげ、法定を変える事も、貴方様の記憶も…取り戻す事ができなかったのです。王に殺られてしまうのが、なし得る限度となってしまうのです。本当は、貴方様の勲章を取ってしまった事は、非常に悲しかったのです。もう貴方様から…離れたくはありません。もう…」と涙がついに溢れ出てしまった。
「すまなかった…悲しませる思いと、不安を纏う様な思いをさせてしまって、すまなかった…申し訳ない」と私は姫に言い種れた自分の言い分を反省すると共に、謝りました。
「ですが…もう良いのです…ここに貴方様が、定法を変える心境をお持ちになって帰城して下さっただけで、充分でございます。」と姫は、私の手を持ち、言った。「ありがとう…そして、待ってくれたな」と私は、そう言いながら、真相に入った。「ところでだが、全てを言い下さい姫」
「わかりました」と姫は、その場で腰を下ろして、私を座るように手で合図を上下にしていた。直ぐに私は、座った。
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