第9話:記憶の狭間
「あ~ついに、旅立ったのだな…もう少しだったのに…悔しい」
と思いながら、周りを見渡すと、王室の様に見えた。ふと、そこは私の過去の記憶に、どこか刻まれていた場面だった。どうやら、私の部室であった。
その部室で、メイドらしき人と王子らしき人が話し合っていた。
「ガルディメス様、最期の餐会で御座います」とメイドは、王子に下を向き、悲しそうに告げた。
「そうか…私も…その身分となってしまうのだな…」と王子は、本当に最期である口振りで言った。「…ガルディメス様…貴方様の様な御立派である方が…この城から退いて、地位高き貴方様が…御身分を自ら」とどうやら、王子は、姿を消すという話だった。
「其方や民衆一人一人の悲哀する気持ちは充分に、私にも伝わった。だが、時と場合によっては、自ずと犠牲者が出てくるかもしれぬ、そうなれば、私は、腹を裂いてでも、止めるべき事、この私の王家代々は、栄えてきたこの何百年にも渡るのも差止めだったが、私では、手を打つ事もできなくなる。悔しい事だ」と必至に伝えた王子は、がっくりと腰を降ろしてしまった。
「姫様を、支えてあげられる貴方様が城外一般人になられるのは、至極残念で御座います。勇往邁進であったからこそ…」と眼に涙を浮かべながら言った。
「そう惜しむでない。その気持ちは、伝わったといったであろう…優々に生きろ…それだけだ」といい、室を後にした。
私は、何だか、よくわからないままであった。直ぐに目の前が光に纏わって、眼が覚めた様であった私だった。
気が付くと、どこかのベッドの上だった。豪族のレースに包まれた装飾とダイヤモンドの飾り付けがかなり施されて、とにかく、一般では、ありえない程の家具や物置がありました。
暫く、私は、口をボカーンと開けたままの状態でいた。
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