第2話:空想の念

私は、王姫の婚約を契るために王城へ足を運んだ最中でした。それは、定めではない。

私は、村の長の息子で、名前は、カートスと呼ばれ続けていたが、本名は知らされていなかった。

どうして村長の息子の私が王族の姫に惹かれていったのか、その切っ掛けは、村での大人と呼ばれる歳数の十八の頃だった。

父さん(村長)に都会の城下町パレードと呼ばれる大祭会が下町で年一回のみ開催された夏季中期頃だっただろうか。

父さんに私が大人になった喜ばしい年月の想念の事か、引っ張られるがままの状態でどこへ行かれるのか不思議な思いと真逆に恐怖心を抱きながら、初めて眼に映る見知らない街並と城の建ちに圧倒され、口をポカンと開け続け、父さんが先行く時までは、佇んでいた。

村と街との大きな違いに驚き、蟻地獄に嵌ってしまうように、惹かれてしまったのだ。

パレードが開催される前に父さんと王城へ立寄り、只、地位の有る有権者又は、王による招待状ではない限り、入城の許可を下すのは、民は勿論、騎兵クラスの称号を持ち合わさなくては、無理だということで、それなりに厳密にしていた。

因みに騎兵クラス等上地位の証は、胸に掲げる勲章が示し、判断をつける。

しかし、此頃、勲章を主権者から隙を付いて盗まれ、その事から入城門前から証する物を認識し、その後の門中に仕込まれた見えないレーザー本人認識機能をつけ、厳重となった。下町の人々もその情報は知れ渡り、許可無く入門した者を裁く制度と法が新たに作られたのは、罪多き世の中の者に対して可決すべき問題点の抜け道なのだろう。

それ以来は、不法進入する者は、スッカリといなくなりつつあるのであった。

話を戻すと父さんは王からの招待状の上、入城をする事ができたが、私自身は、勿論の如く、入場許諾をすることができず城外の草叢辺りを右往左往しては、座り込んでじーっと黙り込んでいたりしていた。

父さんは、一向に城内から外へ出てくる気配は感じられなかった。日差しの真当りに、クラクラと目眩がするようになってきた。

ふと気が付くと、城内から出て来た者がいました。兵隊の数は、多く父さんではないと直ぐに感じ取る事ができた。異様な団体集団と一人の女性が眼にうつった。それはそれは、雲泥之差の様に貴族なる娘の方なのだろうと見惚れて、微動だにせず、ついつい立ち尽してしまった。だがその美女と傭兵は、村長の息子である私には、気付かず、街へ向ったのだった。恐らく、その際に姫様に惚れてしまったのだろう。その時は、村人と貴族の王直下の姫が結ぶなど地位の差が余りにも大き過ぎると思い、考えていた。その後に父さんが城内から出てきたのを見て、思わず手を振ってしまった位の感情が滲み出た。父さんは、何事かと思うようにパレードの方へ共に歩いて行った。

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