焔の記憶

聖真子天蒼

第1話:屍の牢の中

暗くジトジトとしたコンクリート一面の中に独り独り閉じられ、硬く金属の錠にまるで牢獄に居るような重苦しい空気と張り詰めた緊張感とが混り合う内の部室が何故だか、根拠がなく、唯、六人の備兵隊によって連れて来られた。いやっそうではなく、いつの間にか手錠で縛られた状態で深夜強制拉致と言っても過ぎた事ではないだろう。

そのコンクリートで張り巡らされた中で、どういった法の定めなのか、私には、知る由も無かった。

唯一、気持ちを扇ぐ事が出来たのが、一つの窓だった。

それ以外、古びたトイレと布切が大きく裂かれたシーツの掛かっているベッドのみであって、決して、安らぐ部屋ではなかった。

私は、あの時、あの場所で出くわし、事が起らなければ、今頃は、晴れ晴れとした天候の下の草地で朗らかカツ裕福の生活であったのにと後悔をした。

ここは裏腹に胸が裂けそうで、屍になった気分となってしまう。

「どうして、王は、裏切り。破滅を考えたのだろう」と想いつつも孤立した中にいた。

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