第4話女騎士団とゴブリン2

野宿というものを始めてしたような気がする。記憶は無いが、こんなに夜が怖かったことはこれまで無いと思う。しかし、まだ誰かがいるという安心感は得られた。


俺は差し込む朝日によって、目覚めたのであった。太陽は人間の1日のサイクルを形作る。俺は伸びをして重たい瞼を必死にあげた。洞窟の中にはアルルの姿は無かった。外へ出るとそこにアルルは寝っ転がっていた。しかし、彼の顔は幸せそうではなかった。何か感傷に浸っているそんな感じであった。


「アルル、感傷に浸っているところ、すまないがあの女騎士はどうする?」


「まあ、ここにもうすぐ王都の馬車が通るはずだよ。だからそれに乗せればなんとかなる。」


「分かった。」


そして、俺はその女騎士を揺すると目をゆっくりと上げ飛び起きた。昨日は暗くて分からなかったが体は傷だらけであった。


「私はここで眠っていたのか!昨日の記憶はあまり無いのだが、私は何をしていた?」


「あなたはここで意識を失いかけていて、俺に仲間を助けて欲しいと懇願されました。」


「あまり記憶が曖昧で覚えてないのだが、自分が必死であるのは覚えている。私は助けに行きたいが、もう体が動かない。それに加えて、王都の騎士もそんな簡単には動かない。だから、一生の頼みだ!仲間を救ってくれぬか…。」


そう言って女騎士は頭を地面につけた。その顔は必死であった。仲間を思うその気持ち、俺はなんか分かる気がした。この女騎士は本気だ…。


「そのつもりです。顔を上げてください。顔が汚れてしまいます。」


「すまない、本当にすまない…。もしもあなたらに何かあったら私はなんと言えば良いのか…。」


「それでも、俺は勇者ですから。安心してください。

もうすぐ馬車が通るはずです。それに乗って療養して下さい。」


「すまない。あとをお任せした。」


そう言って俺は通った馬車に彼女を乗せ王都に送った。これで行く準備は出来たので、俺は剣を腰に差し、アルルと共に峠の洞窟まで歩き出した。


アルルは男であるのだが、金髪で兎の耳なのでどことなく女っぽく見えるのも確かである。


「何をジロジロ見てるんだ?」


「別に、何も見てないが。」


「そうか、しかし君は呆れるほど人が良いな。さっきの態度にしろ、この世界の住人じゃ有り得ない。でも、僕はそういう君を気に入ったんだけどね。」


「なんか、褒められているのか分からないが、悪い気はしないな。」


「悠長に会話してられるのはここまでだよ。ここからは魔物が現れる。」


「魔物?」


「魔王軍とは別のこの地域に元々住んでいる下級魔物のことだ。ゴブリンもその一種だ。」


「分かった。」


辺りはどんどん茂っていき、なんとも言えない不気味な空気に包まれていた。ガサッと揺れる低木、君の悪い魔物らしきものの声。その時、茂みから緑色の液体状のものが現れた。

その時、俺に向かってその液体が吐き出された。


「避けろ!」


言われるがまま俺はその液体を交わした。液体が飛んだ先は溶けていた。あの魔物が飛ばした液体は酸性であると理解した。


「あの魔物の液体は酸性が強い。だから、早めに逃げるよ。」


俺とアルルは小走りでかけていった。しかし、追ってくる様子も無い。彼らには考える能力が無いので、本能に従って動いているのであろう。 その時、急にアルルの動きが止まった。


「ヴィレム、待って!あそこにゴブリンの偵察がいる、峠の洞窟は近いらしい。」


ゴブリンというものは緑色の肉体にかなりの筋肉がつき、手には短刀と盾を携えている。女の騎士でも苦戦する生き物なのか?

そして、ゴブリンが逆方向に行くのを見計らい俺とアルルは歩みを進めた。なるべく敵とは最小限に戦いたいそれがアルルの考えであろう。

近づいて行くにつれ、洞窟の全貌が明らかになっていった。洞窟の入り口は大きく、かなり目立つ所にある。遠くからゴブリンを眺めてみるが体長は1メートル弱しかない。


アルルは急に飛び出し、偵察のゴブリンを後ろから遅い、悲鳴をあげる隙も与えず、仕留めた。

兎人は思っている以上に早い…。そして、確実に獲物を仕留める。


「ヴィレム、行くよ!」


そう言って洞窟の中を見てみると多数のゴブリンの中

に一際大きな巨体がいた。アルルの方を見ると目を見開いていた。あれは、ゴブリンでは無いのか…?


「なんで、ここにオークが居るんだ?少しおかしいと思ったんだ。女騎士がゴブリンごときにやられるはずが無いって。」


「オークって何だ?」


「簡単に言ったら、体長2メートル弱の緑の巨人だ。凄まじい破壊力を持ち、蹂躙する。」


よく見ると中には囚われた女騎士達がいた。彼女らは両腕両足を鎖で縛られ、鍋の中に入れられそうであった。俺が飛び出すとアルルは呆れた顔で俺の後ろについた来た。


「君はこの状況がわかって居るのかい?オークが居るんだ。一筋縄では倒せない。しかも周りには多数のゴブリンの群れがいる。どうするんだい?」


「倒すしか無いだろ。」


「良く村人に襲われていた人が言えるな…。」


「一応、勇者だからな。」


「分かったよ!」


俺とアルルは武器を身構えゴブリン、オークの集団に立ち会った。ゴブリン達は俺たちの存在に気づくと奇声を上げ始めた。そして、各々が武器を取り囲んだ。

その後一斉に襲いかかって来た。足はそこまで早く無い、だからうまくかわしながら一匹一匹を確実に倒して行く。

俺は、両手で剣を持ち次々とゴブリンを切って行った。かなりの弱さであたりには緑色の血が散乱した。

ゴブリンは俺たちの襲撃によって跡形もなく殲滅した。すると、親玉のオークが激しい怒声を上げ近くにあった。棍棒を手に取った。


「うぉーー!!!」


そう怒声を響かせながらオークは俺たちに迫った。

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