■第5話 勇者マリア(1)


●1



 足が確保できなかったアンジェリカたちより早く、俺とポルテに女神を乗せた馬車は王城に到着する。


 その頃にはもう、北の城壁で戦闘が始まっていた。メイドに案内され、姫が避難したという城の最上階を目指せば、途中で窓越しに街の様子が一望できた。


「あれは! 炎や、雷光……攻撃魔法ですわ!」


 窓から広いバルコニーに飛び出して、女神が声を上げた。


 確かに遠目でも、城壁の上から放たれた魔法の輝きが見える。

 遠距離攻撃の手段を持つ連中が、さっそく魔物相手に小競り合いを始めたようだ。


 まずは安全圏からのザコの一掃だな。射手も弓矢で活躍しているだろう。G{ゴールド}やドロップアイテム目当てに、あえて城壁の外に出ていく冒険者も出る頃合いだ。


 それも、魔法で応戦してくる強力な魔物が出てくるまでのことだがな。


「ここでいいか」


 最上階はもうすぐだが、俺はもういいとメイドに伝え【キャンプ】を展開した。

 大型のテントが俺を中心として、いきなりバルコニーに出現する。


 八角形の屋根を持つ、遊牧民が使うような代物だ。中には寝床が3つ並んでいた。


「なるほど。ポルテとシルヴィーナと一緒だから、3人用のサイズってわけか」

「キャンプですか、ご主人様?」

「な、なんです? どうしてこのような場所で……クライ!」

「決まってる。ここで休息を取る。いざってときまでな」

「は、はいい~~~? メイデル姫を守るのではないのですか!」


 真ん中の寝床に寝転んだ俺に女神が噛みつく。


「……だからって、それまでぼーっとしておくのか? HPやMPを温存しておくのも大事だろ。どうせ襲撃されれば、自動的にキャンプも強制終了するしな」

「さすがです、ご主人様! ポルテもしっかり休みますです!」


 ポルテがさっそく従って、隣に寝そべる。

 寝床どうしがくっついてるせいか、俺の方に密着してきた。相変わらず残念なほど貧相な上に、革の胸当てを着けたままだから、まったくそそられないが。


 そもそもドワーフのロリボディじゃあな。巨乳派の俺としては、女神の体を弄びたいところだ。


「ほら。ひとつ空いてるぞ、シルヴィーナ」

「なっ、なんですか? わたくしはいいですわ!」


 女神は赤面してそっぽを向く。そのまま1人でテントの外へ出ようとしたが……。


「これ、ちょっと、どうなっているのですか? 出口がないですわー!?」

「うん? そういう仕様なのかもな」


 布には切れ目がなく、強引に下から引き上げようとしても無理らしい。パーティのリーダーである俺だけが展開できて、格納できる。ここから仲間は出られないのだろう。


「ふん、勝手にパーティに入ったお前が悪い。どうせキャンプを張った時点で休息する以外の選択肢はないんだ。諦めて寝ろ」


 睡魔が俺を襲い、ふわ、とついあくびが出た。


 そのときにはもう、くっつくポルテがすーすーと穏やかな寝息を立てていた。


「わ、わたくしは起きています! こんなときに悠長に眠るなんて、できませんわっ」


 女神は頑なに従わず、テントの端をうろうろする。


 好きにすればいい。俺は目を閉じた。……キャンプを張った本当の理由は、寝て時間を潰すためだ。

 こうしている間に、城壁付近で戦っている冒険者の数は減るだろう。


 俺は眠りに落ちながらほくそ笑む。そのぶん報酬の分け前が増えるのだ。

 この程度の戦闘で死ぬような弱い連中に、『エムブリヲ』を楽しむ資格はないのだから。



          ◇



【3hの休息を取りました。HP・MP完全回復です】


 俺はわずか3時間寝ただけで目を覚ました。もとよりHPやMPを消耗していなかったというのもあるだろうが……起きたのには理由があった。


 下半身が無茶苦茶気持ちよかったのだ。あたたかく、ヌルヌルしていてたまらない。

 それもそのはず、寝ていた俺の股間にポルテが頭を埋めていた。


「はむっ、んっ……くちゅっ」

「ポルテ? お前っ」

「あ、ご主人様あ~。ポルテはいつだって、ご主人様にご奉仕するですよ。ちゅむっ」


 ズボンから勝手に出した俺の一物を、ポルテが小さな口でしゃぶっていた。


 ドワーフ族の彼女には、すっかり怒張した肉棒は大きすぎるようだが、それでも一生懸命頬張っている。ずいぶんそうしていたのだろう。大量の涎でべとべとだ。

 フェラチオの動きもぎこちなさが取れていた。気持ちいいわけだ。


「んん……うまいな、ポルテ」

「えへへ、嬉しいです。ちゅばっ、じゅぼっ」


 思わず腰を浮かせると、ポルテはいっそう激しく頭を上下に動かした。

 『エムブリヲ』だから18歳以上とわかっていても、ロリ系のポルテにしゃぶらせていると背徳感がすごいな。ぞくぞくする。


 しかし、いきなりHシナリオに突入するとは驚きだ。ポルテは俺の蘇生魔法のせいで、隷属した状態で復活した。その影響で日頃から積極的にアプローチしていたが……。

 キャンプを張って一緒に寝ることで、フラグが立ったか?


 こうなれば堪能するだけだが、ふと隣を見てぎょっとした。


「むにゃ……。んふ、う~」


 悩ましい吐息とともに、巨乳を揺らして寝返りを打ったのは女神だった。


「おい、ポルテ。横に女神がっ」

「騒ぐと起こしちゃうですよ、ご主人様。静かにヤるです。あはっ」


 こいつ、わかっててやってるのか。女神などお構いなしに、ポルテはゆっくりと奥まで俺のものを呑み込んだ。喉の肉が熱く、強く締め付けてくる。


「うっ、くっ」


 やばい。そこにちろちろと舐め回す舌の動きも加わり、俺はたまらず呻きを漏らした。

 もうもたない。射※{で}る……!


「ポルテっ!」

「んぶはあっ、ごひゅじんはまあ~~~!」


 俺が彼女の頭を掴むのと、欲望の白濁した塊がどくどく出るのは同時だった。

 ポルテが俺を呼びながらも、一心不乱に喉の奥で受け止める。


 けほっ、とわずかにむせて涙目になりつつ、ポルテはすべて呑みきった。


「……ご主人様の、濃い、ですよう。ポルテのここ、じんじんしてきたですよ。えへへ」


 顔を上げたポルテは自分の下腹部を撫でる。

 子※のある位置だ。熱を帯びた眼差しで俺を見ながら、胸当ての留め具に手をかけた。


 このまま本番にいくのはいいが、俺は横の女神を意識する。

 幸い、少し声を上げたくらいでは起きないようだ。完全に熟睡している。


「こいつ……寝ないとか啖呵切ったくせに」


 エロい空気を出すポルテとは大違いで、女神はだらしない寝顔で眠りこけていた。

 まあ堕神化したせいで、背中に翼が4枚残る以外は、人と変わらないからな。休息を強いるキャンプに抗えなかったのだろう。


「ご主人様あ~。今は、ポルテだけ見て欲しいですよ」

「ん、わかってる。ポルテ……」

「あんっ」


 どうでもいいか。せがむポルテの唇を、俺は口づけで塞いだ。


 リアルなら精※を呑んだばかりの相手とのキスなんて考えられないが、ここはゲーム的異世界だ。もう雄の味も匂いもしない。

 小さな口の中をくちゅくちゅと貪れば、ミルクのように甘いポルテの味がした。


「ご主人様っ、ご主人様あっ……ちゅっ、ちゅっ」


 目を閉じてポルテが必死に吸い付いてくる。

 俺はその様子を見つめながらディープなキスができるほど、慣れてきていた。


 ここからは俺のターンだな。彼女のショートパンツの中に手を滑り込ませる。

 つるりとした恥※の感触の下に、ぬるりと湿った割れ目があった。


「は、うっ! きゅううううん……!」


 指でなぞれば切ない吐息を漏らし、ポルテが小さな体を震わせる。

 俺の指先に、こりこりとした肉※が触れた。こっちは完全に大人だな。


 さあ、ポルテを堪能させてもらおう……と思ったときだった。


「なにっ!?」


 ひやりとした空気を感じて視線を上げれば、俺たちの頭上に不思議なものが浮かんでいた。それは水の塊だ。

 最初は拳ほどの大きさだったが、テントの中でみるみるうちに広がっていき、直径2メートルを超えた。


「な、なんですかああ!?」


 ポルテも気付いて騒ぎ出す。


「こいつは……まさか」


 その頃には俺は、鏡のような円い水面の正体に気が付いた。見覚えがあったのだ。


「転生用の、『命の泉』だと? バカな……」


 あれは白の神殿で、女神が堕神化した際に消滅したはずだ。

 けれども『命の泉』はついに3メートルものサイズになると、強い輝きを放った。


「はあぅっ!? うああっ……これは、あ、ああーーーーー!」


 その下で寝ていた女神が悶え、4枚の翼を広げる。

 すると『命の泉』の輝きが、明らかに人のシルエットに収束した。


 転生により、新たな冒険者が今ここに現れたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る