■第3話 薬師イオリ (4)

●4


「ここは……?」

「あたし、ここで栽培の研究をしてるんです。えへへ」


 イオリによって連れてこられたのは植物園の中央だ。


 そこにはこの広い温室の天井を支える、柱のように真っ直ぐ伸びた大樹があった。

 それは俺もゲームで知っていたが、その幹にらせん状に溝が掘られ、階段となっていた。そこを登れば大樹の大きなうろがあり、その中が彼女の部屋になっていたのだ。


 確かに研究室として使っているのだろう。そう広くない四畳半ほどの空間には書物や植物標本の収まった棚もあれば、散らかったままの机もある。

 椅子はなく、うろの中に敷き詰められた大樹の葉が、厚手の絨毯のように柔らかかった。


「ここからなら、ちょっと外に顔を出せば植物園を見渡せるから……最近はずっとここで寝起きもしてるんです」


 ほら、とイオリは葉っぱの絨毯の上に座り込み、いつも使っているらしい毛布を引き寄せた。

 確かにここなら寝心地も悪くなさそうだ。


 するならここで、というわけだな。なら……。


「脱げ、イオリ」


 俺は簡潔に命じた。

 不思議とイオリには強く出られる。同じコミュ障どうしだからか。


「は、はいぃ……」


 イオリも逆らわない。自分から望んだことだしな。


 彼女は白衣を脱ぎ捨てすぐに下着姿となった。青いブラに、ブルーストライプの縞パンから、ぽっちゃりした白い肉がはみ出ている。

 脱いだことより余った肉が恥ずかしいのか、座った体勢のまま両腕でお腹やお尻を必死に隠した。


「あ、あの……ごめんなさい。やっぱりあたし、女として魅力、ないですよね……うぅ」

「これはこれで、だと思うぞ。だが、そんなに気になるのか?」

「……だ、だってっ。別に、たくさん食べてるってわけじゃないんですよ? 確かに運動は苦手ですけど……」

「卑屈になってる原因が体型にあるなら、そうだな。これでどうだ? 【代謝促進{デトックス}】」

「えっ? あ、ああああああああ! 熱いいっ!!」


 俺は杖を手にして魔法を使った。

 白い輝きがイオリを包むと、彼女の白い肌からどっと汗が噴き出した。


 【代謝促進{デトックス}】は、【小回復{リトルヒール}】と同じ第2位階の魔法だ。より強い【中回復{ミドルヒール}】を習得するために覚える必要があり、効果はその名のとおり代謝を強制的に促す。

 効果はHPが減る代わりに、素早さ{AGI}の底上げができるんだっけ? と言っても大した効果はないし、AGIの上限を突破できるわけじゃないから、やはり踏み台としての魔法に過ぎないが……練度はレベル99まで上げてるからな。

 けっこう効くはずだぞ。


 滝のように流れる汗とともに脂肪が燃焼され、イオリのフォルムに変化が起きた。

 ふっくらとしていたお腹も腕も足も、顔のラインまでもがすっきりとして、俺は魔法の輝きを止めた。


「どうだ、これでいいか?」

「はあ、はあ……え? あの、あ、あたし?」


 自分の汗でできた葉っぱの床の水たまりに、イオリはびっくりしつつも息を呑んだ。見入るのはそこに映った、細くなった自分の顔か。

 痩せた腹や腕、すっきりとした太ももは、触って直接確認する。


「こんな、ことって! クライさん!?」

「余計なことだったか? 俺は前のままでもよかったが」

「いえ! あたし、あたし! 夢みたいで……クライさぁああん!!」


 立ち上がった彼女が俺に抱きついてくる。

 思わず抱き留めれば、折れそうなくらい細くて驚かされる。


 でも胸の肉はしっかり残ったようで、やわらかな感触がローブ越しにも伝わってきた。まったく都合のいい魔法だな。


「クライ、さん……どうぞっ」


 イオリがくっついたまま目を閉じた。

 睫毛、長いな。眼鏡越しでもそれが見て取れた。

 地味な印象だった彼女だが、少し痩せただけで驚くほど色気のある美人になった。


 俺はせがまれるままにキスをした。

 アンジェリカとはまた違う感覚だ。唇が薄く……壊れそうだ。


 舌を入れるのではなく、その儚げな感触をずっと堪能していたくて、俺たちは長い長いキスを交わした。

 ちょっと眼鏡が邪魔になったが、御愛敬だ。悪くない。

 その間息を止めていたイオリが白い頬を上気させて、はあっと空気を吸い込んだ。


「クライさん……じ、上手、です。たぶん……」

「そうか?」

「あの、あたし! もう、もうっ……ご、ごめんなさぁい!」

「うわっ!?」


 いきなりイオリが抱きついたまま、すごい力で俺を押した。思わずその場で尻餅をつくが、やわらかな床に助けられる。

 絨毯ではなくちょっとしたマットレスだな、これは……なんて思った俺のローブが剥ぎ取られた。


「イオリ?」

「脱がしますね、クライさん! ああ、すごい、細身だけど筋肉質ですね!」

「見た目だけで、ステータスの数値ならきっとお前の方がだな……うお!?」


 あっさりと上半身を裸にされた俺に、イオリがむしゃぶりついてきた。

 胸板や肩、二の腕と、あらゆるところをぺろぺろ舐め回してくる。


 く、くすぐったい! 犬か?

 でもエロいな、こいつ!


「クライさん、はむっ、ちゅっ。クライさぁあん~~~!」

「う、おっ!?」

「あ……ここ、気持ちよかったですか? れろっ」


 俺が敏感に反応してしまった乳※をイオリが舌で攻め立てた。


 なんだこれっ、男でも乳※で感じるものなのか!

 その快感に戸惑う俺の股間に、ついにイオリが触れた。


「クライさん、嬉しい……こんなに、大きくなってくれてる。ふふふ」

「おい、イオリ? お前、性格変わってないか?」

「それは……クライさんがあたしをこんなにしたんですよ♪ ほら」


 腰を上げ、彼女は先に縞パンを下ろした。

 すると薄い茂みから愛※が垂れ、糸を引く。


「もう我慢できません、あたし! クライさんっ!」


 イオリが押し倒した俺のズボンに手をかけ、そそり立った一物を飛び出させた。


「わあ、おっきい……! 行きますよ、入れちゃいますよ、ほら。ほらあ♪」


 そこに自分から※所をあてがい、ゆっくりと下りてくる。

 濡れた肉の感触がみちみちと伝わってきた。


 すごい。やっぱりセ※※スは、この瞬間が最高に気持ちいいな!

 それに、きつい! やはりイオリは処女だった。


「んっはあああ! あああっ、硬い……硬いですう! クライさんのおぉ!」



 ――俺たちはねちゃねちゃと互いの体液を交わらせ、肉をぶつけ合い、疲れ果てるまで快楽に溺れた。

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