第44話

わたしは、かずかずの、虐待と、暴力のなかで、その壁から、外へ出るな、と、しつけ、られてきた。壁に、さわると、電流がながれて、電流の痛みは、潜在意識のなかに、さわってはいけない、そう、植え付けられた。   出てもいいよ、出る権利が、あるんだ、なんて、理想論や、理屈は、実際に、たくわえられた、いたみ、という刺激には、まける。壁などないかも、しれないな。     それなら、わたしは、ほんとうに、バカだ。コンピューターグラフィックで、CGで、できた、壁だろう。まるばつ、クイズみたいに、助走をつけて、いきおいよく、走ってきて、飛び込んだら、コンピューターグラフィックではなくて、実際の、表面が、とげとげに、加工してある、かべだったら、血が流れる。コンピューターグラフィックなのか、どうなのかは、誰にも分からない。   だから、わたしは、知らず知らずのうち、自分の想いだけを、自分の魂を、あいての、ところに、飛ばす能力が、身について、いった。それに、よって、わたし、を、彼は、知っただろう。わたしの声は?わたしの、肌は?わたしの、歴史は?彼は、知らない。  届けられなかった。           あと、3000ねん、ごの、らいせに、  おなじ場所で、会ったとき、       『あれ?なにか、この子を、知ってるな』と、わたしも、おなじように、気づくのに、また、おなじ運命には、したくない。    3000ねんごに、会ったとき・・・・・    わたしは、おぼえて、いるだろう。

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