第21話

憑依者A は今日、おなじ作業場の違う会社の新しい社員の悪口をその会社の幹部に、みなの前で堂々とつげ口していた。その社員を、移動か、くびに、という案件だ。その社員に非がないことは、わたしが知っている。なぜなら、A がその標的にしたかったのは、わたしだからだ。わたしもまた、移動になった者の一人だが。ターゲットを、まちがえている。最近よくあるこの現象。一歩間違えれば、その対象になったのは、わたしだ。わたしは今、安全なちがう部所にいる。職場を代えたら、またターゲットは、わたしにもどる。また、くびにおびえることになる。   少し前はいっしょに仕事をしているパートナーが、とんでもない攻撃を周囲から、受けた。めのまえで、すべて見ていた。すべて、聞いていた。彼にはまっったく、非がなかった・・・・。なにが起きてるのか、分からない様子だった。かわいそうに・・・・。わたしは、隣にいて、説明したかった・・・。わたしが、連れてきたモノだと・・・・。そう説明しても、へんにおもわれるにちがいない。かれらは、今、彼らじゃない、と。その人は、ものを投げつけられたり、罵声をあびたり、しながら、つい先日やはり移動になった。     彼はターゲットじゃない。真のターゲットは、わたしだ。憑依者は、わたしにとっては嬉しいことに、その彼には申し訳ないことに、ターゲットを、まちがえた・・・・・    ターゲットが、まちがっているうちに、そのあいだにわたしは着々と、しあわせに、なった、申し訳ない。感謝します。      さまざまな関係者が、わたしの職場には出入りする。関係者らにも、憑依することはあった。何人かのドライバー。ドライバーと、いざこざを、起こしても業務に支障はない。立場が対等だからだ。それをいいことに、本域でやり返し、つぎの日、坊主頭になり、大人しくさせてやったりもした。そのほかの売られた喧嘩は買ってない。          

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