第12話迷路

あみは、今、あの長かった巨大迷路の出口にいた。ここを、出られる。そんな、希望は、いっぽ、足をふみだせば、そこにある・・・。ただ、もんだいが あみには あった・・・そう・・・彼が、この迷路の中にいる・・・・。彼ももう迷路からは、出たかも分からない・・・。出ていないかどうかさえ、分からない。もう一度会うには、めいろを戻らなきゃならない・・・それは、不可能だ。目の前には、しばふが、広がっている。釈放だ。あみは、この出口のノブに手をかけるじぶんのすがたが どうにも想像できなかった まよって まよって まよって ・・・・きた。傷ついてつらくて、悔しくてかなしくて ないて      そんなこの迷路が あみのお城だった そんな日々に さよならを 言うのが すごく怖い。そんな ・・・日々でも この迷路には 彼がたしかにいたから。このめいろは 彼とわたしの お城だった かくれんぼを、しているだけだ。かくれたまま、お別れがくるなんて。そしたら、ずっとさがしてくれるかな。あみには、耐えられそうになかった。あみは、いままで耐えられないものはなかった。いたい歯医者さんも、注射も、マラソンも、つらい仕事にも。何にも耐えてきた。  耐えられないもの、なんて、あるんだな・・・・。あみは、瀕死だった。いますぐ、この出口のドアをあけて、出ていき、病院へ行くしかない・・・。それなのに・・・・・・・・だ。  ノブに 手が かからなかった・・・・。きっと、今がじんせいで、いちばん、つらいのだ。そう思いたい・・・。このノブから出ていけば、すべて忘れ・・・・て、しまう・・・・それは財産をなくすとともに、自分の傷をいやす。 大丈夫だ。こたえなんて、出すもんじゃない・・・・。めのまえに あらわれる もんだ  包まれる もんだ こたえは ある日とつ然だ。とつ然、舞台のまくが、あがる。とつ然、舞台のまくが、降りる。どちらにしても、考えてなるもんじゃない。ふって、くるもの。    そう、思いたい。神様は呼んでいる。出口のほうから。彼氏はよんでいる。迷路の中から・・・・・  あみには、けして 出せない決断だ。 この世でいちばん、迷う。そして、こわい。          出口のそとも、恐かった。この迷路なら安全だ。コンクリートと ・・・・そう、コンクリートと ・・・・・絶望がある。あまるほど。 誰か人にあげたいほど。それに、愛も、まだ、少し・・・。

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