5-6 キュクロテル

 どうも焔です。前回は、道中のgdgdをお届けしました。




「やっと見えてきたな」




 歩いていく道の先にお城の頭の尖っている部分が見えてくる。


 道中、魔族に会ったが外見はほぼ人間と変わらず、変なことをしなければパッと見では人間だとばれないだろう。




「意外でした。もっと魔族っていうから尻尾や長耳かと思ってましたが人間とほとんど変わりませんね。」




「そりゃそうだろう古今東西同じ人間であっても少しでも力があると別種族として罵られ、怖れられ、差別されるもんだからな」




 俺の言葉で、香蓮は、何を言いたいのかを理解した。というか香蓮自身…いやここにいるヘングレ・アス・日影・俺を含めた全員が体験したことのある話だからだ。


 同じ人間だが少し、霊が見えたり、魔法が使えただけで魔女と呼び殺し、同じ人間でありながらアルビノであるだけで、不思議な力があると風潮され闇商売で売られるような世界だ。少し魔力が多く一般より丈夫なら十分迫害対象だろう。




「そういうこったな。いつの世も人は、自分より強きものを怖れ、多くで殺し、憎しみを生み出し続けるアホな生き物だよ」




 糞みたいな考えをしている頭を振り、キュクロテルにあるであろう料理に心を躍らせる。




「なぁなぁ日影、キュクロテルに俺の喜びそうなものはあるか。」




「あぁあるよ、焔の大好物でこっちでしか作られてないものがね」




 日影は、プレゼントを期待させる親のような笑顔を浮かべながら答える。




「何かは分からんがすぐ行こう、今すぐ行こう、さぁ行こう。」




「今向かってるんだけどね…。」




 アスが何か言っていたようだががん無視して先を進む。


 程なくして、道の先に門が見え始め、街に入ろうとする商人たちの列が見える。


 人数は、10~20組ぐらいで30分位で入れるだろう。




「結構多いな」




「そうだね、都市だから夢を求めて若者たちや商人が集まるからねぇ」




「次の組は、君たちだ。とりあえず、目的を教えてくれ」




 俺らが話していると門番が此方によって来る。




「俺たちの目的は、街の観光と食べ歩きだ。」




 俺たちのことを其処まで警戒せず続けていく。




「…わかったここに来るのは、初めてだよな?なら人数X銀貨1枚だから…銀貨6枚徴収する。まぁ徴収といってもこの後渡すカードを出るときに渡してくれれば金は返すから安心しろ。」




 門番の言葉通り銀貨6枚を渡す。




「よし、これがそのカードだ。これが簡易的な身分証となってるから無くすなよ。」




 門番から人数分銀のカードブレスレットを渡される。




「なんか銭湯のロッカーの鍵みたいだな」




 俺は渡されたブレスレットを弄びながら手にはめる。




「言われてみるとそうだね。」




 門番が、各自手首にはめたのを見ると扉が開く。




「ようこそ魔族の首都 キュクロテルに存分に楽しんでくれ。」




 どこかの首都でも同じような歓迎のされ方をしたが気にせず門をくぐる。


 キュクロテルは、ベルスターのように活気触れており、観光名所でもあるキュクロテル城に続くメインストリートにはお祭りのような出店が多く並んでいた。




「うまそうな匂いがいっぱいするな」




「そうだね、今すぐにでも食べ歩きに行きたくなっちゃう匂いだね」




 そう言葉では言っている香蓮だが体は、無意識のうちに出店のほうに歩いていた。




「こらこら、宿屋見っけたら自由時間にするから今は待て。」




 餌をお預けされた犬のようにしゅんとする香蓮に何か微笑ましいものを感じながらいい感じの宿屋を探す。




「この漢字好きだからここでいいか」




 メインストリートから一本裏に入ったところにあった民宿のような宿屋を見つける。




「すみません」




「はいはい」






 あいさつしながら店に入るすると奥のほうからポーロニーの三つ編みを前に持ってきているTHE・人妻感のする女性が現れる多分この宿の女将だろう。




「一晩宿泊したいんだが部屋は空いてる?」




「はい、空いてますが、2部屋に分けますか?」




 俺の質問にほとんど間を開けずに答える女将、客情報をしっかり把握しているところ安心できそうだ。




「そうだな2部屋借りよう。さっきも言ったが1泊飯なしでいくらだ?」




「1泊2部屋6名様でご飯なしですと合計で2銀6銅貨です。」




 言われた金額を女将に渡し、部屋の鍵をもらう。




「ごゆっくりしていってくださいね」




 一例をし小さく手を振る女将。しぐさ一つ一つに何かエロさを感じるが無心となりて部屋に向かう。


 指定された部屋に入り荷物を端に置き一息ついているとドアがノックされる。




「香蓮たちなら開いてるぞ」




 ドアが開き香蓮たちが入ってくる。


 最後に日影が部屋に入りドアを閉める。




「各種結界展開」




 防音・防衝撃・防魔術など完全に孤立した部屋を作り出す。




「んじゃ、今後の予定を発表します。とりあえず、夜までは自由時間、各自金は有るはずだから夕飯も適当に済ませておいてくれ。そして、深夜、魔王城に行こうと思う。」




 俺の発表に誰一人として驚いた様子もなく頷く。




「まぁ実際問題、俺一人で突入してもいいが後々めんどくさくなりそうだし、勇者様(笑)もいますしね」




「今、勇者様に笑いが付いてたような気がするけどいいや、実際、焔から見たら勇者(笑)だろうし。」




「悲観している香蓮は放置してこれから自由時間とする。 各自解散」




 結界を解き、俺は、街に躍り出た。

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