第24話 コノハ助手
「と、言い訳でこの子を助手にしてやってください!」
コノハちゃんを連れてカコさんの研究室へ突撃ぃ!!
カコさんは私の発言の後にしばらく石像のように硬直する。
「……!?ここここここここここ困ります!!わ、私はど、動物の研究を行ってますが、し、飼育の経験はほぼありません!」
「大丈夫ですって!健康管理等の業務は通常通り私がやりますから!カコさんは可愛いお手伝いさんが増えたとでも思ってください」
「い、いえ、でも……」
ええい!!
まどろっこしい!!
こうなったら切り札発動なのです!!
理屈を練られる前に畳み掛けろー!!
「生活や仕事については“アニマルガールの自主性を尊重する”って決めたじゃないですか。それにコノハちゃんが学問を極める道に進もうとしてるんです。その背を押してやるのが飼育員だとおもうんです」
私の発言を受けてカコさんは悩むように指を顎に当てて考え込み、少ししてから結論を出した。
「こ、今回だけですよ」
よっしゃ!!
「じゃあ、コノハちゃん!カコさんに一言!」
「コイツ本当に大丈夫なのですか?見た目と違って何だか頼り無さそうなのです」
あかーん!!
コノハちゃんがカコさん指差し毒吐いた!!
「コノハちゃん、カコさんは本当はとても頼りになる人なんだよ。ちょーっと普段が内気なだけで」
「ふーん……まぁ、良いのです。アフリカオオコノハズクのコノハなのです。これからじょしゅとしてかしこいわたしがお手伝いしてやるから感謝するのです」
コノハちゃんの言葉にカコさんも思わず苦笑い。
まぁ、そこら辺は多目に見てね。
「そう言えば、どうしてコノハちゃんはかしこいって思われたいの?」
「実際かしこいので」
確かにかしこいけどねぇ……
「それも理由の一つなのですけど、わたしはみんなから尊敬されたいのです」
「そりゃまたどうして?」
「……わたしには尊敬している人がいるのですよ。その人はいつも一生懸命で、わたし達アニマルガールが人と仲良く出来るように頑張ってくれる人がいるのです。自分のできる事を精一杯やってる姿を見て、わたしも自分の出来る事で尊敬されたいと思ったのです」
コノハちゃんはそこまで話終えると花が咲いたような満面の笑みを私の方へ向けて言葉を続けた。
「わたしはしーくいんのことをとても尊敬しているのですよ」
「あ、ありがとう?」
むうううううううぅん!!
なんだろうこのむず痒い感覚!!
正面から堂々と誉められる事なんてなかったからどう反応したら良いか分かんない!!
って、アレ?
コノハちゃんってこの前まで私が遊び回ってるって思ってなかったっけ?
「どうしてって顔をしてるのですよ。わたしはかしこいので、自分の勘違いは正したのです」
「もしかして……」
「おんみつも得意なので」
フクロウって空を飛ぶときほとんど音がでないから、こっそりと後を付けられてても気付けなかったのね。
その時、横からガッとコノハちゃんの手を掴む人がいた。
ビックリしてコノハちゃんが横を向くとそこには爛々と目を輝かせたカコさんがいた。
「分かります。イツキさんは尊敬に値する人です!」
「か、カコさん?」
「イツキさんはアニマルガール出現と言う不測の事態の中で平常心を失わずに冷静に対応し、アニマルガールとパークの職員の間に致命的な亀裂が入ることなく良好な関係を築き上げました。さらに飼育員としてアニマルガール達の世話だけに留まらず、人と暮らせるまでに教育を行う手腕は今のジャパリパークに必要不可欠なものです!今やイツキさんのレポートを元にセントラル以外の各エリアにいるアニマルガール達との接触が計られています!それがどれだけ凄いことなのか!それを正当に評価している方は非常に少ないです!イツキさんの功績を私の功績にしようとしている上層部はおかしいとしか思えません!」
コノハちゃんの言葉にカコさんの中の何かに火が付いたようで、今まで聞いたこともないようなマシンガントークをかましている。
その後もコノハちゃんがビビって細くなってるのにも関わらずダムが決壊したかのように以下に私が凄いことをしているのかを説く。
や、やめて!!
これ以上私の評価を上げないでぇ!!
カコさんの中の私の評価高くないですか!?
それに一部絶対に過大評価しているところがあるでしょ!?
レポートだって私の支離滅裂な文章をカコさんが他人に見せられるようにしてくれたからですよ!!
カコさんの横で私は耳まで羞恥心で真っ赤にしながら早く終わらないかなと静かに待つ。
こう言うのって下手に否定すると更にヒートアップするんだよね……
ああ、恥ずかしくて死にそう!!
きっと誉め殺しってこう言うことを言うんだろうね。
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