第8話 真・体力測定
本日は前回失敗に終わった体力測定の続きだ!!
と、言うわけで今日はアニマルガール達とカコさんと一緒にバスで移動中。
現在はカコさんがアニマルガール達に絡まれているのを私は見物している。
「ねぇねぇ、カコさんってお肉好きかしら?」
「何言ってんの!草だよ、草!」
「パン派!」
「え、えーと……その……た、助けてください!」
「根を上げるの早っ!」
人見知り気味のカコさんはアニマルガール達の興味の的にされてヒィヒィ言わされてしまっている。
「そう言えば、カコさんは“はかせ”だったか?しーくいんさんとは違うのか?」
「……」
天才的頭脳は対人(獣?)には全くと言って良いほど発揮されておらず、反応が段々と鈍くなり石化を始めている。
「お?」
バスの外がサバンナへと変化する。
「懐かしいなぁ。あたしの住んでたところに似てるかも」
「私の住んでた場所とも似てますね」
「そりゃそうだよ。ダチョウもインパラも同じところ出身だもん」
ダチョウとインパラは共にアフリカのサバンナに暮らしている動物だから、この光景が懐かしいのかもしれない。
アニマルガール達の興味がサバンナの風景に移ってカコさんは一先ずほっと息を吐く。
「サバンナっていつ見ても荒涼としてますね」
「じ、実はそんなことはないんですよ。このサバンナでは今は乾期ですが、再来月から雨季に突入して青々とした景色へ変わります」
「へぇ、そうなんですか。ところで、今まで保留にしてたんですけど、このバス無人で動いてますよね?」
そう、このバスは現在運転席には誰も座っていない無人のバスである。
人の変わりに何やら虫眼鏡のような機械が運転席に付けられている。
カコさん曰く、最新の学習型AIがバスを運転しているらしく、後々色んな事が出来るように学習中らしい。
ただ、一つ問題があって、何か不測の事態に直面するとフリーズするから、結局何でもかんでも一人で出来る訳ではないそうな。
「しーくいんさん!これってもっと速くなったりしないの?」
「スピードアップおなしゃーす!」
そう言うとバスのスピードが上がる。
中々融通の効くAIのようだ。
10分後、私達は目的の場所へ到着した。
本日の科目は1キロメートル走、重量上げ、木登り、岩山アスレチック、フルマラソン!
「それじゃみんな張り切って行こー!」
「「「「おー!」」」」
「ぉー……」
カワラバトが種目を聞いただけで死にそうな顔をしてる。
「ギブアップもありだから頑張ろ?」
「ウチが死んだら唐揚げにして……」
「ハトの唐揚げは不味そうだからダメ。じゃあ、逝って来い!」
そうして、アニマルガール達の真・体力測定がスタートした。
広々としたサバイバルで繰り広げられる競技は苛烈を極めた。
高速道路並みの速度で繰り広げられる走り、1トンもある岩を持ち上げるし、人なら一時間以上掛かりそうな岩山も軽々とクリアする。
「いやー、やっぱ凄いですね」
「そうですね。皆さん元動物以上の力を発揮しています」
「カワラバトはどうですかね?」
超人ガール達の中で唯一身体能力が人並みのカワラバトはみんなに応援されてヒィヒィ言いながらバオバブの木を登っている。
「……も、元動物以上の力は出てると思います」
「カワラバトも律儀に昇るなぁ。飛んじゃえば楽なのに」
禁止したのは私だけどね!
「と、飛ぶ?」
「はい、飛びますよ」
登りきったカワラバトは頭の翼を羽ばたかせてゆっくりと降りてきた。
カワラバトの記録は10分18秒。
「あ、あの、カワラバトさん、と、飛べたんですか?あの翼で」
「言ってませんでしたっけ?」
「い、言ってないです」
そして、最後のフルマラソン……
「……」
始まる前にカワラバトが地面に伏した。
人並みの身体能力で良くここまで頑張った。
褒美に豆をやろう。
さて、バスの中でカコさんに翼を観察されているカワラバトを抜きで最後のフルマラソンが開始される。
しかし、同じアニマルガールでこうも身体能力に差が出るんかねぇ……
元の動物の差かな?
あ、ピューマが失速した。
ペース配分考えないで走るから、真っ先に体力が尽きてしまったみたい。
その後はグリズリー、インパラの順で失速していき、最後まで速度を保って走り抜けたのはダチョウだけだった。
お疲れ様!
カコさん曰く、このデータが今後新たに出現するであろうアニマルガール達の基礎データになるらしい。
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