第4話 生活の始まり
しばらくするとぞろぞろと健康診断を終えたアニマルガール達が集まってくる。
インパラ居る?
よし、居なくなってないね。
「えー、コホン!次は体力測定に移ります!みんな表へ出ろぃ!」
そんな訳でジャパリパークの住宅エリアの一画にある運動公園へと移動する。
健康診断と違って外から丸見えなため、野次馬が遠巻きに見物している。
おい、先輩!
仕事はどうしたんですか!
「まずは100メートル走!測定するからあっちのラインに並んでね。よーい、ドン!で、全力でここまで走ってきて」
「お?かけっこ?なら、あたしが一番になってやる!」
「インパラやる気だね!」
全員が位置に着いたのと、カコさんが撮影用のハンディカメラを構えたのを確認して合図を出す。
「よーい……ドン!!」
1、2、3、ホァィ!?
「やったー!勝ったー!」
手元のストップウォッチを見る。
4秒弱でしっかりと止められている。
一位はたぶん、喜んでいるインパラ。
二位はピューマで、三位がグリズリー、四位がダチョウ。
私の目と手に狂いがなければ全員が6秒以内に100メートルを駆け終えている。
油の切れたロボットのように振り返る私の視線の先には若干口が開き掛かったような表情で固まっているカコさんがいた。
うん、私の幻覚じゃ無いみたい。
「ふぅ……ふぅ……はひ」
あ、カワラバトも居たんだった。
記録は15秒。
なんか安心した。
で、この後ソフトボール投げ、走り幅跳び、1キロメートル走なんかが残ってるんだけど、嫌な予感しかしない。
特にソフトボールは空の星になる未来しか見えない!
どうする?と言う意味を持って視線をカコさんに投げ掛けると、カコさんは小さく首を振りながら、今日は一旦中止にして種目を練り直しましょうと視線で返答が来た。
ですよね!
私も同じ気持ち!
「今日は体力測定はおしまいでーす!」
「む、まだやることが残っているのではないか?」
「はい、グリズリーはそんな細かいことは気にしない!ちょーっと大人の事情があるから今日は中止!」
私とカコさんは未成年だけどね!
その後、カコさんと別れた私達は本日から住まうことになる新しい寮へと移動する。
インパラはもっと身体を動かしたかったとごねているが、一応言うことは聞いてくれている。
それにしてもアニマルガール達の身体能力があそこまで高いなんて思いもしなかった。
二足歩行でどうやってあの速度を出した!!
アニマルガール達がその気になれば私なんて物理的にイチコロになっちゃう。
気を付けないと……あれ?
動物の時とあまり変わってないような……
まぁ、アニマルガール達との共同生活はかなり不安も多いけど、何とかなるだろうの精神で乗り切ろうと思う。
動物達と違って言葉が通じるからね!
それと研究所から連絡があって、試験的に人と同じものを食べさせてみてはどうだ?と提案があった。
人の食べ物は基本的に動物に与えてはいけないんだけど、アニマルガールだと事情が代わり、人の食べ物こそが適切な食べ物になってる可能性が高いらしい。
分からないことがどんどん増えていきますねー
じゃ、許可も降りたし、今日は頑張って料理を作ってみますか!
あ、アニマルガール達って箸とか使えるのかな?
食器に顔突っ込んで食べてたような記憶があるけど……
これ、もしかしなくても色々教える必要があるかもしれない。
やること満載だぁ!!
しかも大体手探り状態ぃ!!
と、大して良くない頭を働かせながら移動していると今日からアニマルガールと暮らす寮が見えてきた。
「ここがわたし達のお家ね。今日からとっても楽しくなりそう!」
ま、不安も多いけど、彼女達の笑顔を見ているとそんな不安も消えてしまいそうな気がするのだった。
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