ダンジョンに入る前に――スカルボーン攻略の秘訣



 ダンジョンに入る前の心得として知っておかねばならないこと。そもそもダンジョンとは不死の巣窟であるということ、これに尽きる。これは、ダンジョンを運営する上で大切なことでもある。ダンジョンの管理者は、冒険者たちからゲーム代としてダンジョン使用料を搾取しているわけだが、その運営としてはできるだけゲームオーバーになるユーザーを増やさなければならないと考えられる。というのも、スカルボーンが自然発生するためには、ゲームオーバーになるユーザーが必要だからである。ゲームオーバーしたユーザーの遺骸が、モンスターとして出てくるスカルボーンの素材となるからである。不死の巣窟と言ったのは、そのような意味においてである。

 しかしながらあまりにもスカルボーンが増えすぎても問題となる。そこで戦略としては、ダンジョン統括者であるゲーム製作者側と交渉して、強敵が出ないようにしてもらい、全滅確率を下げることである。しかしながら、ゲーム製作者側と交渉を進められるほど戦闘能力が高いのならば、最初からゲームなどやらないかもしれない。そのため基本的には、地道な下積みが大事なのだが、下積みといっても魔法の研究であったり、攻撃パターンの解析であったりをすることが大事なのであって、相手のパラメータを解析したり乱数調整したりして、上手いことゲームをやり過ごすことが大事なのでは決してないことは、頭に入れておくべきだろう。

 ゲームは不死の巣窟であるというのは、比喩的な意味ではなく文字通りの意味である。なぜならゲームオーバーになっても、必ずしもそこで終わりではないからである。どころか、ゲームオーバーになっても次があることにこそゲームのシステム上の真価が存在するのである。

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