冷たい炎のような怒り



 書いているときは苦しく、詩のように自由になりたいと心から思う。

 ごめん、俺、書簡だった。(所感)


 『色失は青になる』というぬゆりPのかなりマイナーな曲を聴く。「待って待って待って待て待て」の連呼が「ラッテラッテラッテラテラテ」に聴こえる。怪獣の鳴き声のようなギターの軋りが、NicoBoxから聴こえてくる。


廃退と相対と群青 価値なんてどうだっていいし

もーなんかどうかして頂戴 慰めて硬化した脳で

こじらせたまんまの誓いで 道理を見下そうなんて

僕らは黙ってくれないね 誰かに依存した頭で

どうか笑っておくれ 伝わらない思いとか


だってだってだってだってだってだってだってだって

自分がかわいーじゃん、どうだって良くなった気持ちもさよならして

もう駄目じゃないか?って言うならどうもこうもなったりもしないさ

興味ないよどっか行って、て、て、て


網膜に同化した惨状 愚かしいようなサプライズ

ぶっ壊したような感じ 皆どうやら一人らしい

お願いさ飽和しておくれ 消えてしまうような声で

引き伸ばしてきた言葉で 冷め切った脳を溶かして

あー、何やっていたんだよ 悲鳴よりも劈いて


待って待って待って待って待って待って待って待って

誰よりも怯えてもういいって言ってくれるまで言葉を潰して

もー止めって本気だってそこまでどうかなってしまいそうなくらいに

興味ないなほっといて、て、て、て


待って待って待って待って待って待って待って待って

待って待って待って待って待って待って待って待って

許してくれないかな

待って待って待って待って待って待って待って待って

待って待って待って待って待って待って待って待って、て、て、て!


 創作における技法的な類似を指摘するまでもなく、キャラメルマキアートのラテの気泡で描いた絵のような世界像の提示でもなく、ひょっとしてどこかの誰かに知られていたとして死ぬことを運命づけられていたのかもしれない。

 死の運命を物語るのに人生は永遠の時間を必要とする。殊にそれが記憶に依拠するならば。

 細長い詩のような小説を書いてみたいとかねがね思っていたのです。ストローのような使い捨ての小説を。流し読みされることは目に見えているのだから。

 目に見えている?

 君の目に映っているのか?

 まさか!

 アヴァン・ポップ以降を書いてみたい。だから僕が書くのは文体も文脈も何ものにも沿わない。

 それならそれでよいのでは?

 しかしどうやって?

 しかし、どうやって文脈を横断する? どうやってフィクションする? FAXでも使う? 8128₿を支払ってその対価に受け取る? 完全数。偶然の一致。もしくは、偶発性の小説?

 物事の現象が僕にも分かり始めたのだ。最初から僕は流行を追いかけているだけではなく、流行の先を読もうとしていた。そのために必要な歴史的過程を学ぶことをすっ飛ばし、さらにその先へと向かっていくのだった。ひょっとして僕が書いているのは、ポスト・アヴァン・ポップなのかもしれない。

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