透明な小説 1
「人は書くことと書かないことの絶妙な均衡の上に立っているんだ」
夢の中の人はそう言った。
「書くことを恐れなければならない。書くことは人を狂わせる。その狂気と正常の中立点に位置するのが、今こうして書いている僕であって欲しい」彼は続ける。
「逆にその僕である存在というものが、果たしてどこにあるのか? 書いていることの中にあるのか? それとも何か見せかけの純粋さに過ぎないものを宿しているのか?」僕は足りない頭をひねって考える。あまりに頭をひねり過ぎたために蛇口のように小水を垂れ流し、夢から覚める。そこでようやく、見ていたのが夢だとわかる。
「理由を教えてあげようか? 僕はまさに今こうして夢の中で執筆活動中なんだよ」夢の中ではらはらと原稿のページがめくれ、そこには今まさにこう言ったようなことが書かれていた。
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