ファイブポリス
初夏のような風が誰もいなくなった。巨大な一大企業の屋外施設に吹く。だが、人類が滅んだ世界のようにただ機械たちだけが、虚しく起動音を出しているだけだった。
「いったい、いつまで持つかな…」
六郎は本来なら僅かな権限のある社員しか入れないモニタールームやサーバールームのある社屋の屋上に上る。
それは、会社の外がどうなっているのかを確認するためだ。
「ここなら、街の様子がわかるはずだ」
扉を開けて外を眺めた。
だが、彼は口を塞ぎ、眼鏡を取り、両方の眼を擦り確認したが、それは恐れていたことが現実になった。
「まじかよ…」
文子たちの待つ居住区に戻り、撮影した写真を見せた。
「うそでしょう」
「本当なの」
六郎は口をつぐんだ。
なぜなら、会社の隣には県内でも有数の進学校があり、南側には大きな縫製工場や自動車工場、さらには利用が多い駅や史跡になっている戦国時代からあるお城の公園があるはずなのに、周りになにも無くなっていた。
変わりにあるのは…現実ではあり得ないものだった。
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