セカンドポリス
巨大な建物がそびえ立つ巨大な都市に見える。ここは県内でも有名なハイテク技術を駆使って大量生産している有名企業の地方支社だ。
広大な敷地は東京ドーム二十個分のマンモス企業だ。
「日本有数の製薬、ロボット、AI技術の株式会社太平ホールディングス。いつ見ても我が社は素晴らしいわ」
文子は自慢の高級外車で颯爽と構内を走りながら、壮大さにいつも高揚感があった。こちらの経理課に所属する彼女は若手の出世頭だ。
愛車を駐車場に駐めて降りると、
「おはよう。文子さん、今朝もごきげんね」
声をかけてきたのは、
「和枝さん、おはようございます」
上司の和枝が声をかけてきて、文子は挨拶する。
「また、工場や品質管理部の社屋やら機械棟の設備を見て喜んでいたわね。いくら、近未来的な造りをしていても、ここは会社なんだからね」
「はい」
さらに、続いて黒いボディカラーのミニバンに乗った少しだけふくよかな谷間をしたサングラスの女性が降りてきた。
「おはようございます。和枝さんに文子さん」
「美和」
「美和さん」
営業課のエースで経理の文子とは同期社員の美和だ。
「皆様、ごきげんよう」
「恵理さん」
「恵理」
明るいキャラメル色のロングヘアーをなびかせて、薄い桜色のワンピースを着た上田恵理がモデルのように歩きながら近付いて来た。
「おはようございます」
ちなみに美和と恵理は、ゴージャスでエレガントな立ち振る舞いから、某姉妹みたく「可憐姉妹」と呼ばれている。
和枝は、黒い肩まであるブラックパールのような漆黒のショートヘアをなびかせ、落ち着いたグレイのTシャツと白のレディースパンツで整えている。文子も明るいチョコレート色のストレートのロングヘアーと、エメラルドグリーンのワンピースを着ている。四人揃うとハリウッドの美人俳優たちが主演の映画撮影のようだ。
文子、和枝、美和、恵理はオフィスに向かおうとした時、突然、駐車場の脇にある会社の遊歩道の木々が風に吹かれて、聞いたこともない音を出した。
“あぁ~あぁぁぁあぁ~”
まるで、何かの悲鳴のようだった。
「何今の?」
「せっかくの爽やかな朝が台無しだわ」
「本当…」
そのまま、社員証を通してオフィスに入室した。
だが、そこには誰もいなかった。
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