第47話 戻って来て
医務室に連れて行ってもらい、そのまま吾郎さんから治療を受けた。
吾郎さんは警官で巌の様な感じだったが、全てが繊細で。
膝とか顔とか腕とか消毒して治療したりしてくれた。
不良どもにボコボコにされたが、結構気持ちが良かった。
そんな中で、ゆう、とサクが心配そうに俺を見てくる。
困った顔も可愛いな、コイツら。
なんて言っている場合じゃねーけどな。
「.....大丈夫?カイ」
「これぐらいじゃ死なんから安心しろよ。.....大丈夫だろ」
奥の方で片付けをする、吾郎さん。
俺はサクとゆう、をそれぞれ見てから、笑む。
そんなサクは頬を赤くしている。
ゆう、も真っ赤になっている。
「.....でも、格好良かった!すっごく!」
「.....そうだね、桜!」
昔より惚れた。
そんな感じが見られ、俺は頬を掻く。
サク、はゆう、を見て頷き合った。
その触れた時にピリッとした。
やはり染みるな、少し。
「本当にヒーローだね。カイ」
「.....ヒーローか。でも、俺より吾郎さんの方がよほどヒーローだ」
俺は奥の方を見据える。
すると、治療道具を片して来た吾郎さんが首を振りながらやって来た。
そして親指を立ててニカッと歯を出す。
「何を言っているのだ。飯島くん。私はただ、やるべき事をやっただけ。君の方がよっぽどカッコ良かった。流石はひなたの将来の婿だな!アッハッハ!」
「婿!?」
俺は一気に赤面した。
そして、赤ん坊が出来て妻になった、ひなた、を想像してしまい。
俺はゴフッと吹き出した。
その際に。
ゆう、とサクにツッコまれた。
「「カイ!!!!!」」
「はい!」
「ワハハ!」
その場で俺達は笑い合った。
それから、ゆっくり医務室を後にした。
☆
吾郎さんは用事が有ると、手を上げて去って行った。
『頑張ってくれ給え』
その様な言葉を残して、だ。
苦笑しながらも、任せて下さい、と俺は言った。
俺達だけで戻って来てから、頭を下げる。
みんなに、だ。
「.....みんな。迷惑を掛けたな」
「.....無事だったから良かった.....うん、本当に.....」
「.....そうだね」
星、栞、ひなた、はその様に話す。
ひなた、は涙を浮かべて居た。
俺はその姿を見ながら、申し訳無さそうな顔をする。
すると、サクが割って話した。
「.....まぁ、楽しい海水浴ですから、ね?こんな感情になっても仕方が無いですよ」
「.....そうだな」
サクの言葉に。
俺は見開いて、そして口角を上げた。
「.....そうしよっか」
みんな納得した様だ。
まぁ、確かに折角の海だからな。
うむ、取り敢えず、何をするかだが。
そんな中でも俺は暫く休憩だ。
と、思っていると、星、が寝転がってビキニを外した。
ハァ!
「.....カイにぃ、サンオイル」
「.....またそれかーい!!!!!」
俺はツッコミを入れた。
そっからまたスタートかよ!と思う。
のだが、それらを一蹴して。
乱暴にサクが星の背中に塗った。
「.....ちょ、違うよー!カイにぃに塗ってもらいたいんだって!」
「駄目に決まっているでしょ!カイは傷が有る病人なんだから」
「ぶー」
星、はブー、と頬を膨らませた。
俺達はそれを見ながら、苦笑する。
皆で塗りあいっこの形になったが、塗り合い、日焼けを予防した。
うむ、これで良いかな。
☆
「.....しっかし暑いな.....」
とにかく暑いわ。
ふざけるなってぐらいに暑い。
俺はその様に思いながら、ビーチバレーをしているサク達を見た。
太陽がサンサンで、その為にクッソ暑い。
でも、楽しそうなら良いんだがな。
熱中症は気を付けてもらわないといけんが。
「.....にしても」
「きゃー!」
「つめたーい!」
あれはAかB、Hか。
色とりどりの大きさと個性的な胸がバルンバルン揺れている。
俺は猛烈に赤面しながら、横を見る。
いかん、意識してしまうと胸に目が行ってしまう。
「.....もう、カイのエッチ」
俺はハァ、と悲鳴を上げた。
水玉の模様のビキニを着けている、サクが眉を寄せて後ろに立って居た。
俺は驚愕して退く。
「.....サク!!!!?」
「.....胸が大きい娘が良いの?やっぱり。おっぱい小さいもんね.....私.....」
ツーンとしながら、胸を隠しているゴムを引っ張り、パチンと鳴らす。
俺は赤面しながら横を見てそして話した。
「.....いや、胸なんて.....気にしない。中身だろやっぱり.....!」
「ふーん。まぁ、別に良いけどね!戻って来て正解だったよ」
サクはその様に話して。
ツーンとして歩いて行った。
俺はため息を吐いて、そして水を飲んだ。
やれやれ、と言いながら。
☆
「お前らー!ポカリでも水でも良いからそろそろ飲めよー!」
俺はその様に呼び掛ける。
なんつっても本当に暑すぎる。
今年の夏も最高にして最悪だな。
熱中症になったらいかん。
「はーい」
「はいです」
その満面の笑みの姿達に俺は笑みを浮かべた。
そして水やポカリを差し出した。
それらを貰って、ボトルの水飛沫を飛ばしながらみんなは飲む。
「.....美味しい!」
「そうだね!」
「.....」
俺はひなた、を見た。
それから、意を決して聞いてみた。
「.....ひなた、吾郎さんとは何故、何処で知り合ったんだ?」
「.....え?」
「.....いや、あんなに優しい人と何処で知り合ったのか、気になったからな。偶然にしてもかなり珍しいから」
ひなた、は俺の言葉に顎に手を添えて。
それから、笑みを浮かべて言う。
「.....うん。カイちゃんなら話しても良いかな.....うん」
「.....?」
俺はクエスチョンマークを浮かべた。
そして、みんなが注目する中。
ひなた、は話し出した。
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