第46話 謎のヒーロー

期末考査が終わったので後は結果を待つのみ、だ。

丁度、金曜日に期末考査は終わり土曜日と日曜日に差し掛かっていた。

親父と由紀子さんに許可を貰い、俺達は3駅向こうのこの前来た海にバケーション的な感じでやって来たのだが。

俺は目の前を見て、眉を顰める、ってかいや、誰だって眉を顰めるだろうよ、これ。

目の前で言い争う、美少女達。

水着はビキニだが、色とりどりだ。

赤、青、水玉とか。

ひなた、サク、栞、ゆう、星。

色とりどりの美少女とも言える。


「私!」


「いや私です!」


「私が一番だもん!義妹だから!」


何を争っているのか。

それは簡単に言えば、俺に背中にサンオイルを塗ってもらう。

その事で揉めていた。

何を下らない事でそこまで必死に。


「.....もー!!!!!埒が明かないよ!こうなったらビーチフラッグで勝負だよ!」


「冗談だろ。お前に勝てる奴なんていねぇよ.....」


ゆう、が叫んだが。

俺は盛大にため息を吐いた。

その通りです、ウンウン。

と、頷く星達。


「.....ビーチフラッグじゃ無くて別の事で.....」


「へいへい。君達」


唐突にチャラ男の声がした。

俺は背後を見る。

そこに、腹が6つの筋肉に割れた様な、日焼けの人相悪そうな金髪が2人。

更に腕を掴まれている、サクが居た。

嫌がっている。


「ちょっと止めて下さい!」


「ねぇ、そんなダサ男放って置いてさ。俺達と遊ばない?俺達、上手いよ?色々と」


この野郎。

俺は直ぐに眉根を寄せて、詰め寄ろうとした。

のだが、その前に。

ゆう、が飛び出していた。

目を尖らせて、思いっきり背中を蹴飛ばし、ねじ伏せる。


「.....嫌がってるから」


「っ〜!!!!!いてぇな!!!!!このクソアマ!!!!!」


ゆう、に対して手を伸ばす金髪A。

その事はまさかの事だったのだろう。

何故なら、ゆう、は驚愕していた。

全力で蹴っ飛ばしたけど効いて無い事に、だ。

拳を下ろす、金髪A。

俺はその金髪Aの拳を食らった。


「.....グッ.....」


「.....あん?」


この事に俺の鼻血が吹き出した。

全員が驚愕する。

このクソ野郎ども、俺の.....大切な人達に手を出すって。

最低だろ。


「何だぁ?お前、俺に喧嘩売ろうってか?」


「.....お前ら.....女を殴るとか最低だろ。落ち着けよ」


「るっせんだよぉ!!!!!」


思いっきりに足蹴り。

腹にダメージが加わって。

思わず、唾を吐き出す。


「止めて!止めて下さい!」


サクが涙声で叫ぶ声がする。

必死に止めようとしている様だ。

ゆう、は戦闘態勢に入って。

他の奴らは警察を呼ぼうとしているのだろう。

クソッ。

なんて弱いんだ。

俺は。


「オラァ!!!!!」


ドガァ!!!!!


金髪Bに殴られ、そして口から血が出る。

もうどうしようもねぇのか。

思っている、その時だ。

金髪どもの背後から。

見た事のある、おっさんが現れた。


ドガァ!!!!!


「ぐあ.....」


金髪Bが悶え苦しむ様に倒れる。

背後に居たおっさん。

それは、ひなた、の義父だった。

早坂吾郎だったか?確か。

吾郎さんはその手をバキバキ鳴らしている。

それから巌の様な体格のまま脅す様に一言放つ。


「俺の娘達に手を出すとは良い度胸だな。お前ら」


「.....テメェ!!!!!」


信じられない事に。

その、吾郎さんにナイフを取り出した。

俺達は驚愕する。

それから止めようと手を伸ばした、のだが。

そのナイフに全く怯まずに。

ひなた、の親父は金髪Aの手を掴んで、投げ飛ばした。


ドジャン!!!!!


砂に、金髪Aが思いっきりに叩きつけられる音がして。

直後にカシャンと音がした。

よく見ると、手錠が掛けられている。

へ?

俺は直ぐに吾郎さんの顔と、姿をよく確認する。

警察官の服装であって、ますます、へ?

と俺はなった。


「.....公務執行妨害で逮捕する」


俺は腫れた顔付きのまま、砂に座り込んだ。

サクが心配して、駆け寄って来る。

ひなた、は安心した様に、呟く。


「お義父さん。来てくれて.....有難う」


「偶然にこの辺りをパトロールしていたのだが.....まさかこんな事になるとは」


金髪どもに手錠が掛けられ。

そして別の警官によってパトカーにそのまま連行されて行く。

サクが必死にお礼を言った。


「.....有難う御座います!」


「.....無論だ。ところで.....顔が腫れているなカイくん。大変だ、直ぐに医務室へ連れて行こう」


俺の手を取って。

そして医務室へ吾郎さんが連れて行ってくれる。

背負ってくれた。

まぁ、海といえばこういう事も有るよな。

俺はその様に思いながら。

連れて行ってもらった。

ゆう、とサクが付いて来て。

そして医務室へ着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る