第44話 幸せの祈り

野島星は俺の後輩の後輩。

つまり、後輩×2である存在だ。

俺が高三になって、星が入学してきて、結果出来た後輩。

口が悪いが、それなりに良い後輩だ。

俺は嬉しく思うが、何故この娘は俺の事が好きなのだ?

それに、何と言うか。

何故、こんなに俺には女性が寄ってくるのよ?

思いながら、俺は頭に手を添えつつ、机を並べる。

何だか疲れるな。

本当に。


「「「「「.....いただきまーす.....」」」」」


机を並ばせてから手を合わせる、俺達。

それから布を広げ、弁当を出す俺達。

が、サク、ひなた、ゆう、は眉を顰めている。

威圧に俺は冷や汗をかいていた。

流石にそのうちにツッコミが有りそうだな、と俺はその様に思いながら膝に腰掛けている、星にヒソヒソ話をした。


「.....降りてくれ。星。俺が殺される」


「嫌です。先輩♡私は先輩を愛してますから」


星の言葉といい、現状況といい。

俺達以外の周りもヒソヒソと話をしていた。

もう注目の的ってどころじゃ無い。

すっかり俺達は有名人だ。


「.....アンタねぇ.....」


ゆう、が震えながら一言。

そして立ち上がって、俺から星をひっぺがそうとする。

だが俺に力強くしがみ付く、星。


「良い加減に離れて下さい。星さん。カイちゃんも嫌がってます」


「.....そ.....そうです!」


サクとひなたもその様にブーイング混じりで話す。

だが、星は何ら反応を示さない。

ツーンとしている。


「いーや!!!!!」


「離れなさーい!」


「.....ハァ.....」


ゆう、と星が><みたいな感じで争う。

マジでどうしたもんかな。

俺を好きなのは嬉しいんだけどこういうのは何か違う様な気がする。


「.....お前ら。とにかく落ち着け。良いか?」


「「「「落ち着けない!!!!!」」」」


俺は盛大なため息を吐いた。

もう駄目だなこれ。

本格的に困惑するぜ、と、思っていると。

星が更に爆弾を落とした。


「.....あ、そう言えば、カイにぃ。勉強を教えて欲しいんですが.....」


「.....勉強?」


「はい!カイにぃのお家で!」


絶対的にワザとやってね!?

俺を殺したいのか君は!

ひなた、ゆう、サクの目がヤベェ!

箸がバキッて折れたぞ!?


「カイ.....私達の家に招き入れる気じゃ無いよね.....?この子鼠を.....」


「.....いや、招き入れるってか.....小鼠て!?」


「もー。お勉強を教えてもらうだけですって。桜先輩」


サクはワナワナと震えている。

目が見えないので、俺は青ざめた。

すると、ゆう、と、ひなた、が話す。


「私達も行くよ。桜と星を放ったらかしには出来ないからね」


「そうですね。ゆうさん」


女子が4人も来るのかよ。

一般の野郎ならラッキーと思うかもれないけど、俺にとっては地獄だ!

誰も覚えてないかも知れないけど、俺はボッチだぞ!

ボッチなんだぞ!

1人が好きなんだっ!


「カイにぃ。スリスリぃ」


「ちょ!駄目ぇ!」


「良い加減にして下さいね?星さん」


「.....カイのバカッ!」


だが、まぁ。

この光景を見ていて。

落ち着くってのは間違いが無いと思う。

だから俺は永遠に何事も無く。

この光景が続く様に祈っている。



























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