第35話
俺達は店員と協力してその男とひなた、と栞の父親と思われる男の喧嘩を止める。
店側に警察を呼ばれそうな感じになりそうだった。
しかし、栞とひなた、俺が全力で説得して。
何とかその場のややこしい状況は一応、収まった事は収まった。
互いに引き離して、腰掛ける。
だが、それでも眉を顰めて睨み合っている様な状態である。
店員にはかなり怒られていた。
次に騒ぎを起こしたら追い出されるという条件で。
「.....」
「.....」
俺達も騒ぎに乗ってしまい、その存在がバレてしまった。
その為、睨まれながらもその会議?と言うか。
話し合いに俺達も参加する事になった。
現時点で、栞、ひなた、俺、桜、山本の夫妻、ひなたの現父親。
そのメンバーが集結。
そんな中で、ひなた、は。
「.....落ち着いて。お義父さん」
「.....ああ」
その様子を見てから、不満げに俺を睨む山本の父親。
そしてそのまま、俺に対して、話してきた。
仮にも自分の作戦に役に立った功績を讃える意味と。
失敗故に不愉快さの意味を露呈した様な目付き。
俺も静かに睨む様にその山本の父親を見る。
「.....で、何故この場所に小僧が居るんだ?」
「俺は小僧じゃ無いっすよ。まぁ、昔はクソガキでしたが」
すると、栞がコーヒーカップを置いて。
静かに目を鋭くして、山本を見た。
その言葉はもう、父親への言葉では無い。
「.....山本さん。カイくんを悪く言わないで」
「栞!お父さんに向かって.....!」
山本婦人のその言葉に。
桜が口を挟んだ。
眉を顰めて。
山本婦人を見る。
「.....それだけ悪い事をしておいて、今更お父さんなんて呼べないと思います」
その言葉に。
山本婦人が不愉快そうな目をした。
そして話す。
「.....って言うか、誰よ。貴方」
「.....私は兄貴の妹です。義妹です」
桜を俺は驚きながら見る。
そんな桜は一切、怯む事無く。
山本婦人を見ていた。
そんな眼力に山本婦人は。
鼻息を吐いて。
「.....子猫は黙って」
「.....黙りません。皆さんを悪く言う人は嫌いです」
結末が見えて来ない様な感じであった。
俺はどうするかな。
と少しだけ悩む。
すると、ひなた、が口を開いた。
「.....とにかく、私と栞は上手く行ってます。今更貴方方の元に戻らなくても大丈夫です。だから放って置いて下さい」
「.....ひなた、栞。それで良いと思っているのか。お前達は私の娘だぞ」
「そんな事は関係無いでしょう。今」
バッサリと切り捨てた。
そして、ひなた、と。
栞は立ち上がり。
勘定を手に、俺の手を取って、桜に手を伸ばして。
5人で静かにその場を後にする。
すると、背後から断末魔の様な声が聞こえた。
「.....何が起こっても後悔するなよ.....!」
「そうよ!親を見捨てるなんて!何が起こるか分からないわよ!」
だが、栞は冷静だった。
栞もそうだが、ひなた、も冷静で。
真顔で話した。
「.....親を切り捨てる訳じゃ無いです。私達は親から自立するんです」
「.....!!!」
そして。
俺達は栞とひなた、に手を取られ。
会計をしてから、そのファミレスを後にした。
☆
「でも本当に驚き。カイくんがこんな所に居るなんて」
「それはこっちの台詞だ」
ひなた、のお義父さんの車の中。
その様に、話していると。
ひなた、のお義父さんが話し掛けてきた。
「ひなた、その少年がお前の婚約者と定めている.....」
「うん。飯島カイくんだよ」
嬉しそうにひなた、は。
胸を押し付けてくる。
いやいや。
おい!
そんな、仲の良さそうな感じを見てから。
ひなた、のお義父さんは反応した。
「.....そうか。私は吾郎、早坂吾郎という。以後、何かあったら宜しくな。先程は.....醜態を曝して申し訳なかった。暴力は振るいたくは無かったが我慢が出来なくてな」
「.....あ、いえ.....」
「.....って言うか.....」
くっつき過ぎ!
桜が、栞が嫉妬の様な目を 〉〈 な感じにして言葉を放つ。
俺はその言葉に、うえ!?と、慌てる。
すると、吾郎さんは大爆笑した。
「.....ハッハッハ。仲が良いじゃ無いか。青春だな。まさに」
「.....ムー。お義父さん、こんなの青春じゃ無いよ。こんなの。私のお婿さんの邪魔に栞と桜ちゃんが入って来ているだけだよぉ」
「.....そうか?.....おっと。そうしている間にも、もう直ぐに着くぞ。カイくん」
俺と桜は。
その言葉に反応する。
霊園の入り口だ。
後少しでまた再会出来るな。
祐介さんに。
俺は桜を見て。
そして笑みを浮かべた。
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