第25話
「早坂さん。どうしてこの学校に来たの?」
「早坂さん。得意科目って有る?」
「早坂さん!」
ちょうど、4時限目が終わって昼休み。
早坂に質問殺到だ。
ラジオのリスナーからのハガキ的な。
やかましい。
って言うか、質問攻めってこの現代にマジで有るのな。
俺は苦笑しながら欠伸をしつつ。
窓の外を見る。
「ねー。凄い人気だよねー」
周りの様子に、俺に話しかけてくる、山崎。
俺はそんな山崎に聞いた。
「.....嫉妬してんの?」
「.....いや、そんな事はないよ?」
嘘だぁ。
俺はその様に思いながら。
更に苦笑した。
そして、窓の外に有る、桜を見つめて。
山崎と共に和んだ。
間も無く、俺の義妹が弁当を持ってやって来る頃合いだ。
その弁当を山崎と一緒に.....
「.....!?」
「.....!?」
気がつくと。
俺達の横に、早坂が立っていた。
俺達は幽霊でも現れたかの様な顔で口を開けて。
とてつもなく驚愕する。
何だ!?
いつの間に!?
「.....カイちゃん。私の事.....覚えて.....ない?」
「.....カイちゃん!?」
「.....!?」
いや、カイちゃんって。
俺は確かにカイだが、こんな美人とは知り合いでない。
どういう事よ。
俺は更に驚愕する。
すると、山崎が細目で見てきた。
「.....飯島.....」
「.....知らん!誤解だ!!!!!」
教室中がこっちを見てくる。
どういうこった!
俺は早坂を訝しげに見る。
その目は、柔和な目をしているが、ちょっと困惑気味。
いや、申し訳無いんだけど。
全く分からん。
コイツの事なんか記憶にねぇ。
「.....私.....カイちゃんの許婚になるって約束したんだけど.....覚えて.....無い?」
「「「「「!!!!?」」」」」
「.....い・い・じ・ま?」
教室が吹き荒れる。
一体、何がどうなっている!!!!?
許婚!?知らねぇよ!!!!?
そんなもんが有るなんて初めて聞いたわ!!!!!
「.....ちょ、おま.....誰かと勘違いってのは.....」
「.....婚約出来る様になったし、花嫁修行も終わったし、やって来たの。カイちゃんの為に。苦労したんだよ?病弱で、疲れやすいから.....」
無視かよ。
しかも、アカン。
これ、何かおかしい。
勘違いにしては、甚だしい。
明らかに何かがおかしい。
俺はその様に思いつつ、教室を見渡す。
そこに、桜が居た。
あ。
「.....」
「.....」
アイツ、弁当を持っているけど、更に消火器を持ってやがる。
和かーな。感じで立っている。
どういう事.....って。
まさか、俺を殴り殺す為か!!!!!
俺は慌てて桜に弁解しに行こうとした、のだが。
胸ぐらを山崎に掴まれた。
山崎はニッコリしていて、拳が振り上がっている。
ちょーい!!!!?
「.....飯島。ちょっと一発、君をぶん殴って良い?」
「何でお前までそんな事になる!?お前、関係ないだろう!!!!!」
「.....ムカつくから殴るんだよ?」
何でだよ。
理不尽だろ。
その様に思っていると。
許婚、と話す、早坂が何かを取り出した。
結婚指輪の様な物を。
ピンク色のケースごと。
取っ組み合いの喧嘩をしている様な俺達は。
中断して、それを見つめる。
「.....?」
そのピンク色のケースを早坂がゆっくりと開ける。
安物のプラスチックで出来ているのか。
よく分からないが、そういう指輪が入っていた。
そして、上の方には何かがマジックで汚らしく書かれている。
それを読む。
相合傘に、名前。
カイ、ひなちゃん、えいえん
その様に、まるで何処ぞのクソガキが書いた様な文字で書かれて。
って、いやいや、嘘だろ。
いや、マジで?
え?
「.....いいじま.....」
「そんな馬鹿な!?嘘だろ!!!!!」
山崎が唖然としている。
俺は見開いて、青ざめる。
早坂はぼんやりしたまま、少しだけ顔を赤くして、告げた。
「.....私、約束は破らない主義なんだ.....だからね、カイちゃん。結婚しよ」
「「「「「!!!!?」」」」」
その言葉に。
一瞬、教室中が凍り付いた。
女子生徒は珍しく赤面で悲鳴を上げて。
そして男子生徒は俺に舌打ちして、嫉妬の目をして見てくる。
更に、桜が。
さ、桜?
「.....あの。桜.....さん?」
教室に遠慮無く立ち入り。
消火器を持って。
俺を和かに見てきて、そして。
涙目になり。
「兄貴の.....バカァ!!!!!!!!!!」
ドギャッ!!!!!
「ぐわあ!!!!?」
消火器で殴ってきた。
嘘だろお前.....!
ぐお!?
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