第23話

バンプ、アクア、ザイルなどを主に歌い。

注文したジュースを飲んで。

ポテト食って。

俺達は喉を完全に痛めてしまった。

全ての力を出し切った様な感じがする。

アホ過ぎた。

っていうか、今の時刻は何時だ。


「.....16時23分.....」


「.....もう無理.....」


顔を後ろに向け、桜は頭を振っている。

学校から脱走してから結構、経った。

そろそろ帰るか。

もう生徒も帰って、いい頃合いだろうし。

俺はその様に思い、立ち上がる。

その時だ。

俺のスマホの電話が鳴り響いた。


プルルルル


「.....ん?誰だ.....ゲッ」


(山崎)


スマホの画面に表示されていた人物。

山崎だった。

マズイ。

仮にもクラス委員だからコイツの場合、何を言ってくるか。

相当に激昂している可能性もある。

かなりヤバい。


「.....誰?」


「山崎だ.....」


桜に説明してから。

俺は電話に静かに出る。

すると、グスングスンと音がした。

まさかの事に。

俺は衝撃を受けた。

泣いている。


『やっと繋がった.....何.....してるのよ!!!!!学校から勝手に居なくなって.....心配させて!!!!!』


「.....その.....何だ。ちょっと用事があってな.....」


『何処に居るのよ!』


山崎はその様に叫んだ。

俺は静かに前を見据えて。

帰ってから説明をする。

その様に話した。


『もう.....心配は要らないんだよね?お願い。そう言って。クラスメイトとして.....心配だから.....!!!!!』


「.....すまん。.....それしか言えない」


俺のその言葉に。

これ以上追求しても無駄と悟ったのか。

山崎はその一言だけポツリと呟いた。


『.....事情が有るんだよね。.....分かった.....これ以上は何も言わない.....だけど、お願い。早く戻って来て』


俺は前髪を見つつ頭を下げながら。

その様に聞いた。

そして、電話を切る。

後ろでキョトンとして居た、桜に向く。

俺はそんな桜に笑みを浮かべる。


「.....そろそろ行くか。桜。父さんと由紀子さんにバレたら最悪だからな」


「.....うん。そうだね。兄貴」


桜は満面の笑顔で返事をした。

そして、立ち上がる。

その際に、桜はよろめいて、俺の胸にスポッと収まった。

俺は赤面する。


「.....ちょ。大丈夫か」


「.....ご.....ごめん。兄貴」


下を見ると。

桜が俺を見上げる様な感じになっていた。

つまり。

キス出来そうな感じに。

これはいかん!

直ぐに離れる、桜。


「.....ご.....ごめんなさい!兄貴!!!!!」


「.....お.....おう!」


そして俺達はお互いに離れた。

心臓が。

バクバクして止まらない。

駄目だ落ち着け。

飯島カイ。

付き合う暇は無いのだ。

そう。

今は付き合って居る場合じゃ無いのだ。


「.....い.....行こうか」


「.....は.....はい」


そして。

お互いに顔を見れないまま。

俺達はカラオケの個室を後にした。



学校へ向かう、河川敷を歩く。

そして目の前に居る、桜を見た。

桜は真正面を歩いている。


「.....兄貴」


「.....何だ?」


「.....約束だよ」


気が付くと、桜は俺の方を見てきていた。

俺は桜を見つめる。

風に揺られている髪の毛を抑えながら。

柔和に俺を見てくる。

何処まで守れるかは分からないが。

約束は約束だ。

守ろう。


「兄貴と出会えて、私は本当に幸せだよ」


「.....そうか」


赤面しながら。

俺はそっぽを見る。

桜は笑顔だった。

すると。


「あのね。2人とも!!!!!」


「.....うあ!?山崎!!!!?」


俺達の持ち物?らしき物を両手に持った、山崎が。

涙を浮かべながら、目の前に居た。

俺達を心配げに見てくる。


「.....本当に心配したんだからね!!!!!いい加減にしてよね!!!!!」


「.....すまん」


「.....御免なさい」


全く、先生とかにどう言い訳したと思ってんの.....ブツブツ。

と話す、山崎。

俺達は頭を下げる事しか出来なかった。

そうして、暫くしてから、山崎が突き出してくる。

その荷物を、だ。


「.....はい荷物。飯島と。桜の分」


「.....か.....感謝致します.....」


って言うか、コイツ、部活は?

俺はその様に思った。

だが、その質問をしようとした時。

山崎が俺達の顔を見て。

何かを悟った様に、ムッとして話した。


「.....桜。何か飯島に変な事をした?」


超能力者かコイツ。

なんでそんな事が分かる。

桜はブンブンと首を振ったが、ポーカーフェイスが上手く出来てない為。

直ぐにバレた様で。

山崎は見開いた。


「.....ふーん。桜。忘れてないでしょうね?あの言葉」


山崎は意味深に。

怪しげな顔付きをして、ニヤーッとした。

そして、俺を見上げてくる。

腕を絡ませて。

え?


「.....ちょ!?何だ!?」


「飯島。一緒に帰ろ?」


「.....」


山崎のまさかの行動に.....って胸が当たってるんですが!

唖然として居たが次に表情を変えて、嫉妬深そうに。

俺をムーッと見て、涙目になる、桜。

そして俺にバカッと吐き捨てた。

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