第18話

勉強は満足に終わった。

今は17時。

俺達は顔を見合わせて、頷きあった。

そして俺は後ろに倒れた。

後頭部に手を添えて。

呟く。


「.....この辺にしときますか」


「.....そうだね。兄貴」


桜は俺の様子にフフッと笑って。

そして立ち上がって、窓の外を見始める。

俺はその間、山崎と栞を見た。

うへー。

と言いながら、山崎はギブアップの様な感じを見せて舌を出していた。


「.....やっぱり勉強は好きじゃ無いなー」


「.....あ、そうなんだね。山崎さん」


山崎って勉強嫌いなのか?

俺は意外な一面に驚く。

そんな話し合いに加わろうとした、その時だった。

桜が困った様な声を上げる。


「.....兄貴。外、大雨.....」


「.....何?」


桜は眉を寄せている。

俺は見開いて、驚愕した。

窓の外を見る。

さっきまで傘を使わずに歩けたのに。

お天気サンサンだったじゃねーか。


ザー.....。


確かに、よく聞いていれば。

ザー、という音が聞こえるな。

いやいや、この暗さは雨雲の暗さだったのかよ。

俺は盛大にため息を吐いた。

その時だ。


コンコン


「.....?」


唐突に。

俺の部屋のドアがノックされた。

全員が見る中。

直ぐに俺は声を上げて答える。


「はい」


「私です。カイくん。大丈夫?」


ドアが開いて。

由紀子さんが入ってくる。

お淑やかな感じと、均等に混じった白髪の黒髪。

そして整った清楚な顔立ちの由紀子さんに。

山崎と栞が滅茶苦茶に驚愕していた。

桜と由紀子さんを交互に見る。


「.....滅茶苦茶.....綺麗.....」


「ふぁ.....桜のお母さんすごい綺麗だね!」


それぞれの言葉に。

由紀子さんは。

髪を手で耳元に上げて、柔和な笑みを浮かべた。

俺達に聖母の様に接してくれる。


「.....有難う。でも.....皆さんもお綺麗だから.....」


「.....え」


「.....!」


赤面する、山崎と栞。

俺は笑みを浮かべて、呟いた。


「.....そうだな。綺麗だもんな。お前ら」


「え!?!!?」


「.....!!!!!」


なんでそんなに目を見開く。

何故そんなに困惑する。

トマトが熟した様に更に赤面する、山崎と栞。

俺はクエスチョンマークを浮かべた。

すると横から太ももに激痛が。

イテェ!


ギリギリギリ.....。


「イテェ!!!!?」


「.....ぶー.....」


桜だった。

頬を膨らませて、嫉妬している。

いや、なんつうか。

お前は彼氏が居るんじゃねーのかよ。


「.....ふんだ!私には彼氏居るからいいもんね!!!!!」


出たよこの言葉。

俺は盛大にため息を吐いた。

そして頭を振る。

すると、クスクスと笑っていた、由紀子さんが柔和に話し出す。


「.....皆さん。多分通り雨ですが.....雨ですし、夕食を食べて行かれませんか?」


「.....え、良いんですか?」


山崎が見開いて、その様に話す。

由紀子さんは正座したまま、柔和に頷く。

栞は俺や桜を見てくる。

俺は頷いた。


「.....まぁ、食ってけよ。丁度、外は雨だしな」


「.....じゃあ.....」


「.....そうだね」


山崎と栞は向かい合って、頷き。

由紀子さんに向いた。

そして頭を床に下げる。


「「.....ご馳走になります」」


2人にその様に言われて。

由紀子さんは笑みを浮かべた。

そして立ち上がって、ドアノブに手を掛ける。


「.....じゃあ、用意致しますからもう少し待っていて下さいね」


「.....あ、手伝います!」


手を上げて。

山崎が由紀子さんにその様に言う。

うん?

山崎って料理出来るの?

思っていると。

桜がクイクイと俺の服を引っ張って。

俺を見上げて話した。


「兄貴。どうする?」


「.....じゃあ俺達も準備を手伝うか」


俺は桜を見てから笑みを浮かべて。

立ち上がった。

栞を見る。

その栞は俺を見て。

赤面した。

うん?


「.....大丈夫か?栞」


「.....な.....何でもありません.....」


「.....???」


その様に俯いて話す、栞。

クエスチョンマークを浮かべている俺の側を抜けて。

栞は赤面のまま、固い感じでドアから去って行く。

側の桜は俺を見て、ムーッとしていた。

うーむ、イマイチ分からん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る