第17話

桜がその様に話して。

王様ゲームは全員がクジを引いたし。

という事で、終息した。

俺は後片付けをする。

桜の言葉に。

嬉しく思いながら、だ。


「.....桜。有難うな」


「.....は?何?いきなり」


「.....お前が俺の幸せを祈っているなんてな。えっと.....ちょっとストーカーっぽい感じはしたが」


その言葉にムッとする、桜。

俺は苦笑した。

褒め方がヘタクソなんだよ。

勘弁してくれ。

でも、本当にとてもとても嬉しかった。

兄貴にとっては、な。


「.....でも、兄貴は本当に何時も頑張っているから、幸せになる様にって。願ったんだよ」


「.....うん。そうだな。有難うよ。桜」


すると、山崎が、とおっ!

と言って。

割り込んで来た。

桜の背中に飛んで、桜を抱きしめる。

女の子の良い香りがして。

俺はそっぽを向いた。


「何を話しているのかなぁ?君達はぁ?」


「.....山崎先輩。さっきの言葉についてですよ」


「.....そうだぜ。山崎」


俺達の言葉に。

ふーん。

と訝しげな目をして。

山崎は顎に手を添えて口角を上げた。


「.....へぇ。じゃあ、私も祈ろうかなぁ。飯島の事を。ね!栞っち!」


「え?」


栞に振る、山崎。

片付けの手を止めて、驚く、栞。

そんな栞に山崎は悪そうな笑みを浮かべる。


「.....栞もおんなじだったんだね」


「.....何の事ですか?」


俺は分からず、首を傾ける。

桜も頷く様に。

反応した。


「.....飯島に知られたらマズイから、後で、ね。栞っち!」


「.....???」


訳が分からないという感じの栞に対して。

山崎と桜は何か分かった様に。

納得して、ライバルの視線を向けていた。

何のライバルなのだろうか。

俺は首をかしげるしか無かった。


「でも皆さん。兄貴の事を祈るのは私だけで良いです」


「そんな事言わないで〜」


「ライバルなんですから」


3人は。

仲が良さそうに。

その様に話して、暴れる。

意味が分からなかったが、俺はその様子に。

笑みを浮かべた。

栞が腕時計を見る。

そして、俺達を見た。


「.....それで、次は何します?まだ15時みたいですし.....」


栞の言葉に。

桜が俺を見て、反応した。


「.....勉強する?兄貴」


「.....まぁ、それだと有難いがな」


俺はその様に言った。

そして全員の顔を見る。

まぁ、仕方が無い。

という感じの顔をしていた。

よし、なら、勉強だ。

来年は受験だしな。


「.....俺の部屋に行くか」


「「へ.....」」


滅茶苦茶に赤面する、栞と山崎。

なんだその反応は。

いや、男子の家に入っているんだからもう関係ないだろ。

それに俺の部屋だったら狭いから集中出来るだろうし。


「.....兄貴.....他の女の子を.....部屋に.....って.....」


桜は固まったまま反応する。

いやいや、桜までかよ。

俺は盛大にため息を吐いた。



「.....ふ.....ふーん。ここが飯島の部屋.....」


「.....良い香りです.....」


山崎と栞.....と桜は。

赤面でモジモジしながら周りを見渡す。

クッションに腰掛けて、目の前の台に手を置いて、だ。

なんで桜までモジモジしているんだ。


「まぁ、男の部屋が全部こんな感じだと思ったら大間違いだからな。気を付けろよ」


俺はその様に手を広げて話す。

昔、俺は知人の男の部屋に行った事があるが。

汚すぎて話にならなかった。

ラノベ、ゲーム。

山積みだった。

そして埃や、虫の死骸。

全くな。

太郎さん(G)が発生したらどうすんだ?

俺はその様に思いながら。

過ごしたのを覚えているな。


「.....う.....うん.....でも飯島の部屋以外は.....入らないと.....思うから.....」


山崎は。

その様に笑みを浮かべて話した。

俺はその事に驚きの目をする。


「.....どういう事だ?」


「あ、な、何でもない!!!!!」


何だよ気になる。

すると、桜が割り込んで来た。

勉強道具を持って。


「はい。そこまで。勉強勉強!」


山崎は慌てて、話を切り返そうとしている。

俺はその様子に。

訳が分からないよ。

と、どっかのキャラの様に。

反応するしか無かった。


「あ、そ、そうだね!教科書貸して!飯島!」


「.....お、おう」


「じゃあ、私にも貸して下さい」


俺は通学鞄から全ての勉強道具を取り出す。

そして栞に教科書を渡した。


「.....ありが.....え」


「.....うわ!!!!!しまった!!!!!」


栞はビニールに入った、それにボッと赤面する。

グラビアの載っている、買っていた雑誌を渡した様だった。

俺は赤面で、慌てて取り戻そうとする。

それを山崎が上から没収した。

そして表紙を見て、ニヤニヤする。


「.....へぇ〜。飯島のエッチ〜」


「.....兄貴.....最低.....」


下卑た目を向けてくる、桜。

仕方が無いだろう!俺だって男なんだ!

そういうのも拝みたくなる年頃だってか!

返してぇ!


「ぼっしゅー!勉強終わるまで側に置いときまーす」


「勘弁してくれ.....」


最低だろ!

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